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活断層と耐震化

(H29年03月25日)

活断層(その1)

私の執務室には、[新編] 日本の活断層 分布図と資料 という東京大学出版会の

「活断層研究会編」の一冊の重い文献がある。島弧列島である「日本」はおびただしい

活断層の分布が列島南北約3,200kmにわたり分布しています。

「活断層」は、断層の一種である。定義としては一般に、最近の地質時代にくりかえし

活動し、将来も活動することが推定される断層を活断層としています。

地表に現れている断層のうち、最近数十万年(第四紀後期)の間に変位を繰返し行った形跡

が認められ、今後も同様な活動を行う可能性が大きいとみられるもので、地震断層や

現在クリープが認められる断層も含まれます。どこに、どのような分布を示しているかは

是非、この文献を手に取って見届けて頂きたいです。「貴方のお住まいの場所」の近傍かも

知れません。しかし、活動度合いも未解明がほとんどです。

過去に沖縄県宮古島での「活断層と耐震化」と題してセミナーをさせて頂きましたが、

島の大半は平坦地であり、大津波の遡上も大変危惧されます。そして、唯一1kmごとに

「活断層」が宮古島を7本も縦断しているのです。宮古島公民館でのセミナーでも地元の新聞記者の取材を受けて掲載もされましたがとても恐ろしい地形です。

「理想郷」の時間のゆっくり流れる島なのに・・・。

実務として、兵庫県南部地震の少し前には兵庫県宝塚市の山手にある市立某中学校の技術科教室棟の学校施設計画に関与した際、校庭内に「活断層」が通過していることを宝塚市の教育委員会学校施設課の担当者に進言したこともありました。

いまでこそ、熊本地震など「活断層と耐震化」に首ったけになっていますが、この当時の緩慢な対応だったことが記憶に残っています。

過去の連載にも取り上げていますが、米国においては、カリフォルニア州法として「活断層法」があります。この州法では活断層から15m以内は新築禁止、400m以内は活断層

ゾーンとして周知することなどを定めています。

いずれ、我が国にもこのような法律が議員立法で制定されることを望みます。

(H29年04月05日)

活断層(その2)

「断層近傍」では地震波についての研究が行われ、指向性パルスと長周期の同調や

ランダム波との兼ね合い等検討・検証が工学院大学の久田義章Drから問題提起されており建築学会や地質学会との連携研究テーマともなっています。

確かに、瞬間波動的破壊の恐怖は神戸波・新潟県川口波に見られる指向性パルスの成因と被害状況が証明しています。

逆断層すべりによるフリングステップと地盤変形による地震被害では、台湾の集集地震が

あまりにも有名です。「ひずみの解放予知」が急がれる要因はここにあるのです。

米国のカリフォルニア州法に倣い、我が国でも遅ればせながら少しずつ「地方自治体の

条例」として活断層近傍の建築につき規制を始めています。神奈川県横須賀市・兵庫県

西宮市の条例が先駆者となっています。今後も条例制定が増えるはずです。

宅地建物取引主任者にあっては、「重要事項の説明」が義務付けられており、「活断層」と

取引不動産の関係は説明責任が免れないのです。消費者にとっては大切なことです。

私の住む西宮市にも六甲山系に沿って様々な「断層」が分布しています。

詳しい位置関係は、日本の活断層の文献に譲りますが、不動産価値に大きく影響します。

建築研究所の都司嘉宣Drの新聞寄稿から、熊本地震との兼ね合いを少し論評いたします。

 

 

 

 

(H29年04月15日)

活断層(その3)

過日の全国紙に掲載のあった「温故地震・熊本地震」のテーマでの寄稿からの論評です。

九州地区は、ご存知のとおり地域地震係数Zは0.8~0.9で分布しています。

新黄色本P-299とP-300の表にその数値が記載されています。

熊本県のうち

八代市、荒尾市、水俣市、玉名市、本渡市、山鹿市、牛深市、宇土市、飽託郡、宇土郡、

玉名郡、鹿本郡、葦北郡、天草郡

以上の地域地震係数Zは0.8となっております。

そこに、H28年4月、熊本県中部で「熊本地震」が発生したのです。

この地震では、死者49人、住宅3万棟が全半壊した大きな被害となりました。

この被害をもたらしたのは、日奈久断層帯の活動で4月14日午後9時26分に起きた

マグニチュード(M)6.5の前震と、布田川断層帯が動いて4月16日午前1時25分に発生

したM7.3の本震だったと記載されています。

これら2つの断層帯の連続した活動は今後詳しく解明されるでしょう。

活断層付近は厳重な耐震化を提起されています。もっともな論理です。

地域地震係数Zの分布も熊本県~大分県に流れる中央構造線の端部として「見直し」が

議論されるでしょう。建築の復興はまったなしです・・・「耐震指標」が問題となります。

熊本県では長らく被害を伴う地震はなく、地震研究者でさえ、熊本地震の発生を意外に

思ったほどともあり、これが「家屋の耐震化」への意識を低めたともあります。

ならば、今後の復興において「崩壊に至らない」耐震基準とは如何ほどなのかを国土交通省はしっかり早急に示す必要に迫られています。さしずめ、公共施設の重要度係数を用いるとなれば建築コストに跳ね返ります。「安全とコスト」重要な尺度となります。

次回は、中国地方の活断層地震について論評いたします。

 

(H29年04月25日)

活断層(その4)

政府の地震調査委員会がH28年7月1日に公表した「中国地方の活断層の地域評価」について論評します。今回の「中国地方」とは、山口県、島根県、鳥取県、広島県、岡山県

の5県です。概ね、「浜田~広島」以西を「西部」、「千代田~戸倉峠」を境に南北に北側を

「北部」、南側を「南部」としています。

その活断層の地域評価結果は以下のとおりです。

  M6.8以上の地震が30年以内に発生する確率 

「西部」14~20%、「北部」40%、「東部」2~3%、「中国地方全体」50%

出雲・松江・米子・鳥取の数値が大きく、尾道・岡山・備前は小さい数値です。

活断層は、瀬戸内海にも分布しています。高い確率を示すのが防府・周南沖です。

内陸部では、弥栄断層(阿東~邑南)と宍道(鹿島)断層です。

発生確率、関東並みの高さとか未知の断層存在、警戒必要ともあります。

中国地方の主な地震と地殻変動 

阿東地震、石見地震、浜田地震、出雲地震、鳥取県西部地震、美作・鳥取地震等

これらにより、「四国」が室戸岬から瀬戸内海・山口県に向け2cm/1年の地殻変動です。

四国や瀬戸内海沿岸はフィリピン海プレートに押されて年間数センチずつ動いています。

特に、室戸岬から高知市への安芸付近の海岸線沿いは大きく変動しています。

このように、全域にリスクがあることを認識し、防災に役立てて欲しいともあります。

折りしも、この論評の編集中に鳥取県中部地震(M6.6)がありH28年10日21日、14時7分に震度6弱を記録した。西北西と東南東を軸の「横ずれ断層」による地殻変動は7㎝を記録したとされています。また長周期地震動も近畿地方など「階級1」を記録した。

大阪管区気象台は「今後震度6弱の地震が起きる可能性はある」「南海トラフへの影響は

なし」としている。全国どこにも「未知の活断層」の存伏が直下型地震に警鐘を鳴らす。

 

(H29年05月05日)

耐震化(その5)

法改正による「特定建築物」の耐震診断報告義務もあり、全国4000棟の該当建物が

どのように進捗したのか国土交通省からいずれ公表されるでしょう。

新耐震(1981年)以前の建築物に対して耐震指標Is値を調査・報告を特定建築物に義務付け

たから・・・結果が気になるところです。特に「活断層近傍」は注目に値します。

地方自治体の条例には「罰則」は科せられません。なので、被害の発生で覚醒するのです。

国が率先して「法整備」してこなかったことにも原因があります。

活断層は、環太平洋において「馬蹄」のように分布しています。

すなわち、

ニュージーランド~パプアニューギニア~フィリピン~台湾~本邦~アリューシャン~

アラスカ~北米~メキシコ~南米チリに至る「馬蹄」となるのです。

このライン上は、北極付近意外は「人口密集地」であり、ひとたび大きな地震に見舞われると「組積造建物の崩壊」による死者や、大津波による被害が多発するのです。

我が国は、島弧列島です。それも台湾に近い「石垣島」~「稚内」まで南北約3,200kmに

活断層の分布のおびただしさには「絶句」となります。

是非、一度「分布図」をご覧頂き、「活断層近傍」に立地するのか再認識して頂きたいです。

大きな地震動に遭遇した場合、「偏心率」の大きな平面形状の建物では被害は甚大なのが

自明の理です・・・いかに「偏心」のない整形な構造計画にするかが重要となります。

熊本地震では、被害を受けた構造計画から見えてくるものも公表され出します。

耐震化について、「どの程度の許容値」にするのか「地震応答」との天秤となります。

耐震等級ランク3なら「被害」が防げるとか・・・思い込みが怖い結果となります。

いずれ震係数Zの値も見直されてくるでしょう。

 

 

 

 

 

 

(H29年05月15日)

耐震化(その6)

全国各地の皆さんからの「構造のご支援」の中に「耐震化」の相談も多いです。

新耐震(1981年)以前の建築物には地域地震係数Zは加味されておらず、地震力の取扱い

も相当緩慢なものです。そこに、新耐震基準に合うよう耐震指標Is値を0.6以上に改修となると費用・期間など制約も出て参ります。

「解体」するか「補強の耐震化」にするかは所有者が決めることです。

RC造の耐用年数を50年とすれば、1966年以前の建築物は寿命に来ているとなります。

新耐震(1981年)から、早や35年経過しています。残余の念から「耐震化」を図る場合

改修費用や経済コストを耐用年数との天秤にならざるを得ません。

いすれにして、「活断層近傍」は厳重な耐震化を図る必要があります。

超高層ビルの評定においては、その建設位置と「活断層」までの距離を指摘されます。

都市圏活断層の位置については、国土交通省 国土地理院の「都市圏活断層図」を検索

しますと、整備一覧及び北海道地区から九州地区まで掲載されています。

告示波以外の地震波の多数採用や長周期対応の動的解析時間の延長もあります。

一般の戸建て住宅では、「耐震シェルター」や「エァ免震」など画期的なものもあります。

耐震等級ランク上げは安全との引き換えにコストアップに直結となりますが、「備えあれば

憂いなし」です。「人命は地球より重い」と言った政治家もありました。

過去にも沖縄県の各地でのセミナーにて提言していました「減築(床面積を減らす)」のも

ひとつの選択肢となります。

 

今後は是非、活断層近傍に該当するかをご確認の上、耐震化されることを望みます。