MENU
構造支援・構造設計塾のハシテック > , , > 鉄筋コンクリート構造の成り立ちを考える
KEI SYSTEM

鉄筋コンクリート構造の成り立ちを考える

(H29年08月15日)

RC造は鉄筋とコンクリートの相互協力(その1)

毎年、「お盆休暇」の静かな時に「連載」のテーマを定めて、執筆活動しています。

横浜国立大学・田才晃教授の文献を改めて読破しながら「RC構造の成り立ち」を再考して論じることにいたしました。折りしも、2017年日本建築学会賞(論文)においは、宇都宮

大学の杉山央先生が受賞された研究テーマも大変価値のあるものです。

「各種コンクリートの発熱・硬化性状の解明と調合設計・強度管理への応用に関する研究」なのです。水和初期の温度履歴が長期的な強度と耐久性に及ぼす影響をセメント水和物の細孔構造のレベルで数値モデル化されています。大断面部材の初期高温履歴が構造体コンクリートの長期強度の停滞をもたらす・・・実務の重要な現象を定量的に解明された。

さて今回からの論評では、「鉄は座屈との戦い」でしたが「RC造は鉄筋とコンクリートの相互協力」です。学び方の角度を変えてみると見えてくるものがあれば正解です。

RC造は、圧縮をコンクリートが負担し、鉄筋が引張を受け持ちます。

ただ、コンクリートに埋め込まれた鉄筋に引張応力を負担させ、ひび割れの急激な進展を

何としても防がなければ建築物の破壊に結び付きます。

耐震設計法は、幾多の地震を経験してその教訓を生かした研究からより安全な建築物と

なるように進歩を遂げてきたのも事実です。それがRC規準・同解説の改定の礎となる。

RC造は、「脆い壊れ方をするコンクリート(脆性部材)」と降伏後も「粘り強い鉄筋(靱性

部材)」の力学的性質をしっかり理解することに尽きる。

 毎年の「構1修了考査」に弾塑性の基本理論設問が用意されるのもここにあります。

出来る限り、平易な文面にてRC造の耐力特性などを解説して参ります。

コンクリートと鉄筋の力学特性ですが、「力と変形」の関係から割線弾性係数(セカント

モジュラスEs)というFcの1/4または1/3の応力状態のヤング係数を理解します。

セカントモジュラスEsとは、圧縮応力σと圧縮ひずみεの曲線変化の割線(接線ではない)勾配です。

「テストピース」に圧縮を載荷すると供試体は萎縮(ひずみ)する現象なのです。

コンクリートは圧縮される方向に対して直交方向に拘束を受ける(横拘束)とσ-ε関係

が変化するので、横拘束を大きいほど圧縮強度は増大し、RC部材の圧縮破壊を遅らせ

変形能力を高めることになり、とても重要な性質です。

(H29年08月25日)

RC造は鉄筋とコンクリートの相互協力(その2)

時間があれば、近隣の「生コン工場」に立ち寄って欲しいです。コンクリートの規格

供試体がころがっているはずです・・・ただし、試験終了後は「出汁を取った昆布」です。ご自宅に持ち帰って「花壇の縁取り」に使う程度でご用済みとなり、哀れな運命です。

学生時代には「万能アムスラー試験機」と格闘した記憶も遠い昔の話です。

RC造建築物の「ひび割れの防止対策」の検討にはコンクリートの引張強度の適切な評価が欠かせないが、最近では「フライアッシュ」が大変役立っています。

さて、次は「鉄筋」ですが「異形棒鋼(SD)」に限定して論じます。何故なら、「丸鋼(SR)」は現場での使用がほとんどないためです。鉄筋で重要なことは、「降伏点」です。

引張応力とひずみとの間には比例関係が成立し、「フックの法則」として有名です。

この応力上昇がなくなる点を「上降伏点」、一旦、降伏点が「下降伏点」まで下がります。

さらにひずみが増えて鉄筋は「塑性化(降伏)」して「降伏棚」を過ぎると「ひずみ硬化域」の最終域で引張強度が最大となり、あとはと破断へ向かいます。

鉄筋の引張応力-ひずみの関係においては、「降伏点」が明確でない「鉄筋」は0.2%の残留ひずみを考慮した「オフセット耐力」を対象にいたします。

鉄筋は、適切な「かぶり厚さ」に包まれており、圧縮を受けても「座屈は生じない」ので

引張力を受ける場合と同じ特性を示すと考えます。

 こうして、鉄筋とコンクリートの相互協力によって「構造体」となるのです。

その「構造体」ですが、「鉛直構造面」と「水平構造面」によって役割や機能も異なります。

RC造は基本的に「せん断破壊」が命取りなのです。これは「鉛直」も「水平」も同じです。

保有水平耐力計算では、「水平構造面」がしっかり役割や機能を果たした構築物を対象に

「鉛直構造面」の全ての「せん断耐力」の和を取ります。

そこに、「脆性破壊要因」となる「付着割裂破壊」となる部材が介在しておれば、論理の

構成に結び付かなくなります。「局部崩壊形」は好ましくありません。何故なら、最も

痛ましい「層崩壊」に繋がる「崩壊形」は避けなければならないからです。

これらの論理は、「柱梁部材の弾塑性挙動」とし題して次回に続きます。

 

 

(H29年09月05日)

RC造は鉄筋とコンクリートの相互協力(その3)

毎年、秋の「構1修了考査」が終わると感ずる事があります。

設問側から見た、受検側の理解度のギャップです。確かに設問の「難易度」は高いです。

残念ながら、学生時代の教科書を読み直ししなさい・・・となってしまいます。

RC造の「梁の曲げとせん断」の性質について学びます。梁の破壊実験では北海道大学の

「荒川卓」先生や「大野式載荷」「建研式載荷」など諸先輩に学ぶものが多いです。

「せん断破壊」は、RC造建築物の命取りです。何があっても避けなければなりません。

せん断破壊のメカニズムを考えます。まず、載荷点と支点の間ではMとQが発生します。

載荷点と部材端部の支点を結ぶように「斜めひび割れ」が生じ、部材の中央では「せん断

応力場」が形成され、斜め対角方向の引張応力によってコンクリートが破壊される。

この「せん断ひび割れ」発生以降、斜め引張応力を負担するのは「せん断補強筋」です。

「せん断補強筋」が少ないと、せん断ひび割れが急速に開口し、荷重支持能力を瞬時に

失う「命取り」の「せん断破壊」であり必ず避けなければならない「破壊形式」です。

それに対して、「せん断補強筋」の多い梁では、せん断ひび割れを生じても斜め引張応力

はせん断補強筋が十分に負担し、ひび割れ幅が拡大せず、載荷とともに「曲げひび割れ」

が進展し、下端主筋が引張降伏する。その後も荷重支持機能は維持され、変形が増大して

圧縮側のコンクリートの圧縮破壊にて最大の耐力を発揮し、靱性が高く粘り強いのです。

この「曲げ破壊形式」が望ましい破壊形式として認められているのです。

コンクリートの強度と圧縮鉄筋の量(複筋比γで決定)は、曲げ破壊に対する粘り確保が大切

であり、圧縮鉄筋の効果を活用し、大きな粘りを得るには「圧縮鉄筋の座屈阻止」である。だからこそ「あばら筋(スターラップ)で外側から十分拘束し包み込むことが必要なのです。

このあと、曲げ耐力と変形性能では3本の折れ線でモデル化される「復元力特性」に

ついて学びます。「構1講習集会テキスト」では図1-29 3種類の材料 のグラフが

学びの対象となります。

 

 

(H29年09月15日)

RC造は鉄筋とコンクリートの相互協力(その4)

前回、主筋が引張降伏し、最終的に圧縮側コンクリートが圧縮破壊する柱や梁に

ついての「モーメントもM-曲率φ」のモデル化に関するものでした。

RC造では、曲げひび割れ発生点および引張鉄筋が降伏する点で折り曲がり、コンクリートが圧縮破壊へ導かれていく図の理解です。

モーメントMと部材角Rの図では、3本の線の意味は「原点-曲げひび割れ(cr)」

「曲げひび割れ-降伏(y)」「降伏-終局(u)」です。

ここに、初期剛性やみかけの剛性が勾配角度として表現されます。

剛性低下率αyとは、「見かけの剛性 / 初期剛性」であり、必ず1以下の無次元数値です。

「構1勉強会」の初期の頃は、熱心にこの論理について「模型」でも説明しました。

沖縄県や埼玉県の方のご厚意により「木製」や「鉄製」の模型を説明に用いています。

部材断面とひずみ分布では、軸力Nと曲げモーメントMは応力σより下式となります。

N = ΣσdA

M = Σσx dA

xは、断面のせい方向の位置、dAは微少な断面の積分要素です。

曲げ解析では、軸力の釣合い式(上のNの式)から中立軸xnを求め、これを利用して

曲げモーメントを求める式(上のMの式)を誘導します。

軸力がゼロと考える場合を「梁」、それ以外を「柱」と扱うのです。

柱・梁の許容耐力をまとめます。

梁の許容曲げ耐力Mは、RC規準(2010)13条より

M = at ft j   (釣合い鉄筋比以下)

柱の曲げひび割れ強度 Mc

Mc = 0.56 Ze +

梁では、軸力がゼロなので

Mc = 0.56 Ze

剛性低下率αyは以下の式である。

αy = (0.043 + 1.64 n pt + 0.043 a / D + 0.33 )

また、シアスパン比 a / D = 1.0~2.0の範囲では

αy = (-0.0836 + 0.159 a / D + 0.169 )

  ここで、pt =  a =    Qy =    =    n : ヤング係数比

 

(H29年09月25日)

RC造は鉄筋とコンクリートの相互協力(その5)

前回、柱・梁の曲げひび割れ発生時などの誘導式でした。

終局曲げ強度は

梁の場合

Mu = 0.9 at σy d

柱の場合

Nmin ≦ N < 0のとき

Mu = 0.8 atσy D + 0.4 ND

0 ≦ N ≦ 0.4 bDFcのとき

Mu = 0.8 atσy D + 0.5 ND ( 1- )

0.4 bDFc ≦ N < Nmaxのとき

Mu = ( 0.8 atσy D + 0.12 b )

長方形柱の場合

Nmin ≦ N < 0のとき

Mu = 0.5 agσy g1 D + 0.5 N g1 D

0 ≦ N ≦ N bのとき

Mu = 0.5 agσy g1 D + 0.5 N g1 D ( 1- )

N b ≦ N < Nmaxのとき

Mu = ( 0.5 agσy g1 D + 0.24 (1 + g1 ) b )

  ここで、Nb = 0.22 (1 + g1 ) bD

         g1 : 引張筋重心と圧縮筋重心との距離の全せいに対する比

円形柱 (D≒113) は、正方形柱 (D=100) への等断面積の置換となります。

 

 

 

(H29年10月05日)

RC造は鉄筋とコンクリートの相互協力(その6)

最後に、柱・梁のせん断耐力の評価などをまとめます。耐力壁は割愛します。

印字の都合により新黄色本の式符号を用いています。

梁の許容せん断耐力は、RC規準(2010) 15条により

QAL = b j α fs

QAS = b j [ α fs + 0.5 wft ( pw-0.002) ]

梁のせん断ひび割れ強度は、

Qc = (付1.3-2)式

梁の終局せん断強度は、

荒川式のmin式(下限値の推定)式

Qsu = (付1.3-6)式

荒川式のmean式(平均値の推定)で告示594号の式

Qsu = (付1.3-7)式

 

柱の許容せん断耐力は、RC規準(2010) 15条により

QAL = b j α fs

QAS = b j [ α fs + 0.5 wft ( pw-0.002) ]

柱のせん断ひび割れ強度は、

Qc = (付1.3-8)式

  ここで、σ0  : 軸方向応力度 ( = N / bD ) 

柱及び梁のせん断ひび割れ強度として、[靱性指針] によると

Vc = (付1.3-9)式 : 新黄色本ではP-655で「Qc」(明らかに印字ミス)

柱の終局せん断強度は、

推定式として

Qsu = BQsu + 0.1 σ0 b j

Qsu = ( 0.9 + σ0 / 25 ) BQsu’

柱の軸方向の引張終局強度は、

Nmin = -ag

Nmax = b D Fc + agy  σy