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地盤を考える

(H29年12月15日)

地盤(その1)

前回までの「地盤と基礎を考える」からさらに、「地盤」及び「基礎」について細分化して

考えてみます。その中で、日本建築学会から「建築士のためのテキスト」と題して「小規模建築物を対象とした地盤・基礎」の冊子が2003年6月に発行されている。

そこで、毎日の実務に関わる事柄について「地盤」と「基礎」を順次取り上げます。

ここで、「小規模建築物」とは

・地上3階以下

・建物高さ13 m以下

・軒高9 m以下

・延べ面積500㎡以下

の条件を満足する比較的小規模な建築物を対象としています。

これは、学会の「小規模建築物基礎設計指針」と同様であり、上記の条件を超える中規模

以上の建築物の基礎の設計をする場合は、「建築基礎構造設計指針2001改定版」となる。

品確法に関連し、住宅の設計は「仕様規定型の設計」→「性能規定型の設計」に移行しつつあるとも言われ、益々、設計者の立場は重要度を増すばかりである。

「基礎」とか「地盤」に「性能」は馴染みにくいのも事実である。被害として目に見える

「不同沈下の抑制」に要因として基礎と地盤のいずれが主たる原因か、両方が関係して

不明確な点が「性能」という意味をあいまいにしているとも言われています。

いずれにせよ、日本の地形から「沖積層」や「洪積層」など海岸部の地層・性状に理解が

必要となります。高い台地の地盤と海岸付近の地盤とでは「堆積する地層」も異なります。

構造設計者として、「共振現象」を避けて地盤と建物の固有周期を一致させない安全性を

高めるのも耐震的な観点から配慮されているのです。

地盤の状態を知る→これが最も重要であるが・・・目視では不明な点が多すぎる。

そこで、「地盤調査」が必要となる。

既存建物の外壁や塀のひび割れなど周囲の状況も参考になります。

造成地や埋立地においては、その地盤の確認が不可欠であり、地山の切り盛りの位置関係

も「不同沈下」と結び付きます。

やはり、建設地における「土質調査」以外に正確な情報は入手出来ないのです。

(H29年12月25日)

地盤(その2)

実務における「地盤調査」の実態は・・・未確定案件では「近隣データ」に頼る。

RC造や鉄骨造と異なり、木造2階建てでは確認申請などで、構造計算が必ずしも必要と

されないから地盤に対する事前チェック等に重要性の十分な理解がなく、「訴訟」となって

設計段階の不備に気が付くのです。

未確定案件の場合、地盤の下調べにつき以下の項目は、敷地周辺がどのような地盤であるのかをある程度推定するのに役立っています。

・地形図 : マクロ的に土地の高低が等高線

・土地条件図 : 土地の微細な高低差、地形の種類、斜面の状況や盛土など人工地形

・地質図 : 土の性質や地盤の硬軟の想定

・地盤図 : 都市部を対象に各ポイントの柱状図

・敷地周辺の住宅の状況 : 隣地の家屋、塀などのひび割れ等の観察

・土地の名称・字地名 : 水に関連する旧地名など

これ以外にも「広葉樹(堅木)・針葉樹(柔木)」の植物状態も水はけの参考にもなります。

字地名は、法務局へ行けば閲覧可能です。

地名で軟弱地盤を見分ける目安として、山から海への地名の語源は下記です。

「田のつく地名」→ (旧田地) 仁田、沼田、野田、宇田、部田、牟田、江田、新田 など

「谷のつく地名」→ (山間の低湿地) 谷地、谷津、谷戸 など

「水辺の植物の名のつく地名」→ 蓮、蒲、葦、芦⇒吉と同じ など

「低湿地に多い地名」→ 不毛、五味、阿久津、悪田、泥這、土呂、浮田、赤田、湫、淀

沼 など

「新田干拓地に多い地名」→ 沖、浦、浜、別所、小森 など

「水辺の動物の名のつく地名」→ 鷺、鶴、亀、鵜 など

「砂州に多い地名」→ 須加、菅、州 など

「和のつく地名」→ (川谷や海岸の湾曲した土地) 和田、浦和 など

「水辺の構造物に関わる地名」→ 橋、船、堀、提 など

地名は変えてはいけないそうです。

 

 

(H30年1月05日)

地盤(その3)

「問題のある地盤」とは以下であり、補強対策が必要な地形・地盤となります。

 

・軟弱地盤

敷地の地層が泥土、腐植土(有機物が腐って土になったもの)などで構成されていたり

沼や緩い砂などからなる海岸を埋め立てた土地である。

  「不同沈下」が起こったり、地震の時、家は大きく揺れる傾向がある。→対策が必要。

・埋立地

沼、水田、湿地、谷、海岸などに土砂を埋め立てた土地である

地震の時、揺れやすいだけでなく、地面が大きく陥没、地割れ、沈下などにより

家が傾いたり、基礎が壊れるおそれがある。→対策が必要。

・盛土地盤

盛土は、γ=16~18 kN/㎥の重量がある。軟弱な地盤の上に盛土をすると、その重さを

受けた軟弱層は水を絞り出すように徐々に沈下(圧密沈下)を起こす。

軟弱層の厚さが厚いと「不同沈下」を起こすおそれがある。

・山地・丘陵地の造成

山地・丘陵地などを盛土や切土で造成した敷地は、安定するまでに盛土部分が元の

地形の斜面に戻るような変形をしようとする。

このような地盤に家を建てると、基礎と一緒に基礎が不同沈下で壊れるおそれがある。

丘陵地の造成では切土された土を谷側に盛土をして平らにするので、元の山地と盛土

との境目ができ、このようなところが最も不同沈下を起こしやすくなる。

・崖・急斜面

崖や急斜面に接近した場所(崖麓線)では、集中豪雨や地震による土砂崩れや擁壁の倒壊で、家が押しつぶされる危険がある。

崖上に家を建てる場合、崖端に接近した場所(崖麓線)では、崖崩れ防止の擁壁その他で

防護措置を講じる必要がある。

・谷底低地

丘陵や台地を下った先には谷がある。谷筋には腐植土のような軟弱な地層が堆積する。

その上に盛土された場合、谷底の軟弱層は圧密沈下を起こす。そのとき、谷の中心線に

向かって沈下が大きくなるので、不同沈下となる可能性が 高くなる。→杭支持の対策。

 

 

 

 

(H30年1月15日)

地盤(その4)

「地盤の状態」を調べるには、下記の方法がある。

 

・スウェーデン式サウンディング試験(SS試験)

ロッドの先端に螺旋状のスクリューポイントを取付けて静的に荷重を加え、回転しながら一定の深さ貫入するのに要する半回転数(Nsw)を測定する調査法である。

土質の硬軟、締まり具合、土質の構成等を大まかに判定できるが計測ポイントを増やす。

  SS試験のNswから「標準貫入試験のN値」への換算式は20%程度のばらつきがある。

 調査費用は、約5~6万円である。軟らかい地層では深さ10mまでの調査が可能である。

・表面波探査法

地表面上で起震器によって地盤面を震動させ、発生した表面波(レイリー波)が2つの

検出器A-B間を通過する速度から地盤の硬軟の程度を検出する調査法である。

土木分野でよく用いられ、最新のIT機器による調査で建築に応用されている。

調査費用は約5~6万円である。

・コーンぺネトロメーター試験

先端角が30度の円錐状のコーンをロッドの先端に取り付けて人力で地中に押し込み、その際にコーンの貫入抵抗から地盤の硬さ、締まり具合を調べる調査法である。

人力によるので、粘土やピーと(泥炭)を主体とする軟弱地盤に適した最も簡便な方法で5m程度まで計測が可能である。

・素掘り・ハンドオーガーボーリング

直接掘ってみる方法である。ヘリカルオーがーやポストホールオーがーの工具を用い

る試掘であり、最も簡単に地盤の性状に見当をつける調査法である。

・その他の地盤調査法

  1. ボーリング調査 : 深い地層を調べる場合に用いる調査法
  2. 標準貫入試験 : N値等広く行われている調査法、10mで約20万円 / 箇所
  3. 平板載荷試験 : 地耐力を詳しく求める場合に行われる試験

 

(H30年1月25日)

地盤(その5)

日本建築学会の「小規模建築物基礎設計の手引き」により

「試験掘りによる地層の簡易判別法」を下記に示す。t/㎡を概ねSI単位にしています。

 

地層の硬さ

素掘り

オーがーボーリング

推定N値

推定許容地耐力

(長期 kN/㎡)

極 軟

鉄筋を容易に

押し込むことができる

孔壁が土圧でつぶれて

掘りにくい

2以下

20以下

 軟

シャベルで容易に掘れる

容易に掘れる

2~4

30*1

中 位

シャベルに力を入れて掘る

力を入れて掘る

4~8

50

 硬

シャベルを強く踏んでようやく掘れる

力いっぱい回すとようやく掘れる

8~15

100

極 硬

つるはしが必要

掘進不能

15以上

200

地下水面上の砂

非常に

ゆるい

孔壁が崩れやすく、深い足跡ができる

孔壁が崩れやすく、試料が落ちる

5以下

30以下

ゆるい

シャベルで容易に掘れる

容易に掘れる

5~10

50*2

中 位

シャベルに力を入れて掘る

力を入れて掘る

10~20

100

シャベルを強く踏んでようやく掘れる

力いっぱい回すとようやく掘れる

20~30

200

 密

つるはしが必要

掘進不能

30以上

300

※1 過大な沈下注意を要する。※2 地震時の液状化に注意を要する。

 

(H30年2月05日)

地盤(その6)

「地盤の補強」には、一般的に普及している「表層」と「柱状」地盤改良の方法がある。

 ここでは、小規模建築物を対象としているので「地盤改良」を考える。

 

・表層地盤改良

建物の建築面積よりも広い面積範囲の軟弱で不安定な地表面の原地盤に、セメント系

固化材を混合・攪拌・転圧して分厚い安定した地層に変える改良方法である。

 一般的には、地表面が軟弱地盤で、その下に十分な支持層がある場合に、基礎下部地盤

を薄層状に転圧する工法である。地表面より2m程度を2層に分け、セメント系固化材

を改良前の地盤と混合し、締固めを行って固結化させる。地耐力30~100 kN/㎡程度で

階数≦3、高さ≦13m、軒高≦9m、延べ面積≦500㎡の小規模建築物の条件を満たす

建築物を対象とする。なお、土1㎥に対するセメント系固化材の最低配合量は、砂質

地盤の場合には50 kg、粘土質地盤の場合は60 kgである。

・柱状地盤改良

建物の基礎下部位置にセメント系固化材を加圧注入して杭状に固める改良方法である。

この方法は深層混合処理工法と呼ばれ、セメント系固化材と原地盤を機械攪拌または

高圧噴射攪拌により混合し、柱状に固結化させた改良コラム杭形式、壁形式、ブロック

形式に配置することで地盤を改良する工法である。高性能ハイブリッドコラムとして

鋼管芯材を有するソイルセメントコラム工法など業界の技術進歩が著しいです。

これらは地盤の深部までを対象とし、中規模程度の建築物に用いられることが多い。

なお、支持地盤が浅く、短杭となる地盤の改良にも本工法が採用される。その場合は、短杭(βL<3.0)以下の設計について注意する。

短い杭の場合、「杭の境界条件」「水平方向地盤反力係数khと杭断面」に配慮を要する。

短杭は設計方法が明確でないので出来る限り採用せず「他の地盤改良」か「栗石コンクリート地業」とする。