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基礎を考える

(H30年2月15日)

基礎(その1)

前回までの「地盤と基礎を考える」からさらに、「地盤」及び「基礎」について細分化して

考えてみます。その中で、日本建築学会から「建築士のためのテキスト」と題して「小規模建築物を対象とした地盤・基礎」の冊子が2003年6月に発行されている。

そこで、毎日の実務に関わる事柄について「地盤」と「基礎」を順次取り上げます。

ここで、「小規模建築物」とは

・地上3階以下

・建物高さ13 m以下

・軒高9 m以下

・延べ面積500㎡以下

の条件を満足する比較的小規模な建築物を対象としています。

これは、学会の「小規模建築物基礎設計指針」と同様であり、上記の条件を超える中規模

以上の建築物の基礎の設計をする場合は、「建築基礎構造設計指針2001改定版」となる。

品確法に関連し、住宅の設計は「仕様規定型の設計」→「性能規定型の設計」に移行しつつあるとも言われ、益々、設計者の立場は重要度を増すばかりである。

「基礎」とか「地盤」に「性能」は馴染みにくいのも事実である。被害として目に見える

「不同沈下の抑制」に要因として基礎と地盤のいずれが主たる原因か、両方が関係して

不明確な点が「性能」という意味をあいまいにしているとも言われています。

いずれにせよ、日本の地形から「軟弱地盤」に普通の基礎ではまず「地盤の不同沈下」により基礎に亀裂が入ったり、基礎が壊れ、家が傾いたり、原因不明の雨漏り、外壁のモルタルの亀裂など平常時でも家が傷む。それ以上に地震時には地盤に亀裂、沈下などが生じて基礎を壊すことにもつながる。このように軟弱地盤では、地盤の不同沈下に耐えられ、多少の地震動でも破壊されないように基礎の選定は慎重にかつ重要度は増すばかりである。

(H30年2月25日)

基礎(その2)

「基礎」について細分化の中で基礎工法の選定は何より重要である。基礎の歴史も考えて

みると、古い民家には自然石の礎石の上に直接柱を建てたり、玉石を敷土台にしたり先人の英知に感心します。軟弱地盤では、地盤の不同沈下に耐えられ、多少の地震でも破壊されない基礎の選定は慎重にすべきとなります。

ここで、「基礎工法の選定」について項目ごとに再考します。

・布基礎の強化

基本的には「布基礎は梁」である。鉄筋量を増加させ、通りを増やして強化を図る。

・コンクリート造のべた基礎

軟弱層が厚い地盤沈下地帯や敷地の一部が盛土、液状化現象を生じやすいゆるい砂層

などに用いられるが万能でないことに留意する。

・杭基礎

10m程度下に硬い地盤がある場合や、厚い盛土、傾斜地の盛土、地盤沈下地帯、液状化

現象を起こしやすい地盤に用いられる。

軟弱地盤にも色々あり、20~30mも軟弱層が厚い地盤とか、地表面は軟らかいがすぐ下に

硬い地盤があるなど、敷地が盛土や埋立地など個々の地盤の条件により基礎選定も変わる。

家が軽い木造か、重いコンクリート造など上部建物の重量にも左右されてくる。

 

上記の3つの基礎を含めて各種の補強対策工法を簡単に列記する。

・布基礎 : 通常の住宅に用いられる標準的な基礎

・べた基礎 : 基礎コンクリートを厚さ150㎜以上でRCスラブとしたもの

・浅層混合処理 : 基礎外側1m、深さ1mの範囲の地盤をセメント系固化材にて改良

・表層ブロック : コマ型コンクリートブロックを敷設し、空隙部を砕石で充填

・パイルドラフト工法 : 基礎下に細径鋼管を設置

・深層混合処理 : 深層攪拌混合により、セメントミルクφ600㎜の柱状体を設置

・細径鋼管杭 : 鋼管杭を回転圧入により設置

・回転貫入杭工法 : スクリュー(翼)付き鋼管杭を回転圧入により設置

・生石灰パイル工法 : オーガードリルで生石灰+セメントアルミナを投入し柱状体を作る

・節杭(PC)摩擦杭工法 : 節付きRCパイルを建て込み圧入して定着(@3.6m程度)

・RCパイル圧入工法 : アースオーがーを用いてφ200㎜RCパイルを圧入(@900㎜程度)

 

 

 

 

 

 

 

(H30年3月05日)

基礎(その3)

地形でわかる「地盤の良否」について考える。

 

時代

地形

特徴

代表的

土質

傾斜

水位

GL-m

漏水

地盤の

安全性

現代

 

 

 

 

 

 

 

埋立地

沼沢谷地などを一般面までに埋め立てた土地 埋立て材料や施工に注意不良地盤が多い

搬入土

ごみ ?

×

現場

ごと

×

×

盛土地

水田に盛土などの土地(海浜の埋立て地を含む) 盛土(上載)荷重による軟弱層の沈下に注意

搬入土

ごみ ?

1~2

平たん化

斜面の切盛りなど 安定地盤と盛

土地盤にまたがる 土留めの客土

地盤も同じ

一般に

発生土

×

切側

湧水

×

×

 

 

時代

地形

特徴

代表的

土質

傾斜

水位

GL-m

漏水

地盤の

安全性

沖積世

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新しい土 :

1万年~今

砂堆・

砂丘

砂は比較的流速が速いところに堆積 砂丘はそれが風で運ばれたもの 自然堤防と類似

砂質土

低い

三角州

 

河川の河口付近に、主に粘性土が厚く堆積 浸水・高潮の影響を受ける

粘性土

 

0~1

後背湿地

 

水田地域、河川が運んだ細粒土が厚く堆積 軟弱で水はけが悪いが

広大で開発進む

粘性土

 

1~2

旧河道

 

過去の河川流路で、周囲より0.5~1m低い 腐植土など不均一に堆積し、不良地盤の代表

腐植土

2~3

×

×

×

××

自然堤防

 

昔から街道や集落に利用、河川に近接して発展 周辺より1~2m微高地 地表付近に砂質土が堆積

砂質土

2~3

おぼれ谷

 

縄文期ごろに湿地・沼であったところ 不良地盤の代表 植物の遺骸で構成される腐敗土は高含水・

高圧縮性

腐植土

×

0~1

×

×

×

××

扇状地

 

山麓部にあり、砂レキ質土を厚く堆積 上流では土石流に注意  下流には湧水が

砂レキ

上底

下高

開折谷

 

台地・段丘を流れる河川により侵食された細い谷

傾斜した地層と二次堆積物で構成

粘性土

砂質土

1~2

 

 

時代

地形

特徴

代表的

土質

傾斜

水位

GL-m

漏水

地盤の

安全性

洪積世 :

古い土 :

200万年~

1万年

台地・

段丘

平滑な地形であり、古い安定した地層で形成され、一般に良好地盤の代表

ローム

洪積層

低い

 

 

 

(H30年3月15日)

基礎(その4)

多く採用される「べた基礎」について注意点を考える。

前回(その2)において

・コンクリート造のべた基礎

軟弱層が厚い地盤沈下地帯や敷地の一部が盛土、液状化現象を生じやすいゆるい砂層

などに用いられるが万能でないことに留意する。

この「べた基礎」には、地盤特性の確認が重要となる。

寒冷地なら「凍結深度」、接地圧の確保、表層の腐植土(有機物が腐って土になったもの)等に対して、根入れ深さや耐圧版の位置が検討対象となる。

設備配管の対応でも、スペースや経路等も「配管の取替えは不可能である」を認識する。

耐圧版の下部地業の十分な突き固めはもとより、根切りによる切り下げ部分の土砂の崩壊に注意する。また、捨てコンクリートの打設は型枠の正確な位置出しに重要である。

アンカーボルトの取付け・埋め込みは、土台の継手や耐力壁の位置にも関係する。

多くの木造住宅の基礎工事においては、アンカーボルトの取付けは、植込み式であり

コンクリート打設と同時に行われているの。

基礎伏図のアンカーボルト位置との整合も施工時によるコンクリート硬化の早い時期には

要注意となる。

基礎コンクリートの注意点では、JASS 5 (鉄筋コンクリート)による構造耐久性の確保では

建設場所とレディミクストコンクリートの生産工場との「運搬時間」の問題もある。

都市計画区域から少し外れた郊外などの建設地では、概ね、30分以内に排出が出来ない。

その場合「硬化遅延材」の使用となり、流動性にも疑問となる。

水セメント比の小さいコンクリートは性能に優れるが、流動性や施工性にも問題となる。

 

(H30年3月25日)

基礎(その5)

地形と土質による「基礎工法選定」について考える。

地盤のチェック→資料、踏査に基づく地形の分類→台地、低地、人工地盤・その他

土質のチェック→資料、踏査サンプリングに基づく土質の分類 →洪積層、沖積槽、人工土

たどり着くのは、「標準の布基礎」「底版拡幅の布基礎」「表層改良工法」「柱状改良工法」

「杭基礎工法」「ケースbyケース」などとなります。

この内容は、建築技術の「住宅基礎の設計ガイドブック」の出展によるものです。

フローチャート式なのでわかりやすい内容となっています。

 

(H30年4月05日)

地盤(その6)

まとめとして「基礎設計の実状」について考える。

木造住宅では、「べた基礎」の割合が70%近くであり、その形式は根入れの浅い逆底の

単配筋タイプが約8割を占めている。

この基礎形式は、現時点では推奨できるタイプとは言いがたい。

だからこそ、「べた基礎」は万能ではないことを理解すべきです。

地盤補強対策工では、「表層系地盤改良」「柱状改良」「杭系」がほぼ3割程度と同じである。

建築主の方では、基礎・地盤は「性能設計の対象」にはならないとの認識が少なからず

あるようにも思えます。

基礎(その3)でもわかるように、「地盤の良否」では

最悪は、「沖積世」の「おぼれ谷」であり不良地盤の代表である。

最良は、「洪積世」の「台地・段丘」で良好地盤の代表である。

昨今の土地開発の進捗から土地取引も「知識」として「地形」を理解するのが必修になる。

購入してから気付いても時既に遅しである。人生の最も大きな買い物なのですから。

住宅生産者・消費者ともに、基礎・地盤の重要性に対する認識は「品確法」によって

向上はしたものの、肝心の基礎の選定に対する考え方が十分に改善されていない。

ひとりでも多く「構造のわかる1級建築士」に理解が進むことを願う次第です。