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液状化を考える

(H27年09月05日)

地震動と共振 (その1)

毎日「実務」の中、時たま深く思考するテーマに「液状化」がある。当然、その「予測」や「対策」です。体験された地震には揺れ始めから終わるまで、様々な周期の揺れが上部構造である「建築物」や表層地盤のサイト増幅特性などが混在しています。
固有周期は「建物」、「地盤」別にあり1秒以下の短周期帯の揺れの強さが大きく、被害の要因ともなっています。

「共振」現象を避けるために、地震の揺れの周期と建物の固有周期(=建物が1回揺れる時間)が一致しない配慮をします。実務では固有周期を長周期化する 「免震装置」を建築物に組み込み、免震建築物として地震被害から守るものなのです。揺れの強い、短い周期での共振を避け建物の固有周期を長くして激しい揺 れから免れることが出来ます。
液状化の危険度の調べ方には2種類あります。
(1) 液状化危険度マップによる方法
(2) 自分で調べる方法
これらについて簡単に解説します。

まず、「液状化危険度マップ」による方法です。
このマップは都道府県・市町村単位で公表され、「ハザードマップ」とか「防災マップ」等の名称で、地震によりその土地が揺れた場合の液状化の危険度を地図上に色識別して啓蒙しているものです。マップのメッシュが小さくなれば危険性の程度も知りやすくなります。
地震の揺れの強さの仮定方法は、震度を用いて対象地域全域に一定とみなす場合と、最近のマップ作成に多く採用される震源と地震の規模(マグニチュード)を想定した地震が発生した場合です。

次に、自分で調べる方法です。
対象敷地に「液状化」が発生しやすい地層の存在の有無はボーリング調査・コーン貫入試験で分かります。「砂質土」の存在がポイントになります。
判断項目は、以下が考えられます。
a) 埋立て地(30年経過していない)
b) 旧河道・旧沼池など昔、川や池・沼などがあった場所
c) 扇状地と呼ばれる特に氾濫の多い大きな川の沿岸
d) 海岸砂丘の裾地・砂丘間の低地
e) 砂鉄や砂礫を採掘した跡地の埋立て地
f) 谷地・沢地の盛り土利用の埋立て地
g) 過去に液状化の発生した土地(再来の可能性もある

地震動と共振 (その2)

「共振」現象を避けるために、免震建築物とする以外にも方法は色々あります。
揺れの強い、短い周期での共振を避け建物の固有周期を長くする以外に、地盤の固有周期を局所的に調整する改良工法などです。前回述べたように「液状化」しやすい
場所は、一般に川沿い・湖沼沿い・海沿い等の低地であり「地下水位」が地表近くに
あり、「砂質地盤」がポイントとなります。
一方、山地斜面や丘陵・台地など地下水位が低く、また層厚のある軟弱粘性地盤では鉛直系の不同沈下の不安を除けば土粒子間の粘着性が高く液状化の心配は少ない。
さらに、砂質や砂礫質からなる地盤でも固く締まったり、地下水位までの深さが10m
以上あれば通常の場合、液状化の心配はないとされています。
液状化の検討に対しても日本建築学会の小規模建築物基礎設計指針では、地下水位までの深さについて5m以上は、その可能性は低いとなっています。
液状化対策として、地盤の改良等で発生する要因を取り除くことになります。
すなわち、「ゆるい砂質地盤」→「締め固める、または固着させる」あるいは「地下水
位をさらに下げる」「液状化しにくい地盤に置換する」などとなります。

以下にその各種工法をごく簡単にご紹介しておきます。
a) 置換工法
b) 排水工法(グランベルドレーン工法)
c) 締め固め工法(サンドコンパクションパイル工法)
d) 固結工法(深層混合処理工法)
e) 地下水位低下工法(ディープウェル工法)

液状化の判定は、「PL値」や「FL値」を用いますので、そのことを触れておきます。
「PL値」とは、液状化の可能性を総合的に判断するもので、各土層の液状化強度で
ある「FL値」を深さに対する重み関数にて0mから20mまで積分したものです。
「FL値」とは、液状化の予測を行うとき用いられる値で、地盤内の深さごとに抵抗
出来る力と地震によって地中に発生する力との比を表し、1以下なら可能性あり、1を
超える場合は可能性が少ないと判断されます。

液状化の法規制 (その3)

1964年の新潟地震を契機に「地盤の液状化」が注目され、1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災でも問題視されています。
現在わが国では「液状化に対する法規制」は、以下の6本の法律が関わります。
(1) 宅地造成等規制法
(2) 建築基準法
(3) 都市計画法
(4) 公有水面埋立法
(5) 住宅の品質確保の促進等に関する法律
(6) 宅地建物取引業法
これらの中で、建築技術者として重要な「建築基準法」について触れます。
建築基準法第19条、施行令第38条、国土交通省告示第1113号が該当します。
法第19条では、「敷地の衛生及び安全」において第2項にて規制しています。
施行令第38条では、「構造耐力上安全なもの」を要求しています。
国土交通省告示第1113号では、「地震時に液状化するおそれのある地盤」を取り上げており、変形の考慮と有害な損傷、変形及び沈下が生じないことの確認を求めています。
当然のことながら、「液状化の検討」の責任は設計者にあることを再認識して下さい。
「地震時に液状化するおそれのある地盤」とは以下のイ)~ニ)の砂質地盤が該当です。
イ) 地表面から15m以内の深さにあること。
ロ) 砂質土で粒径が比較的均一な中粒砂等からなること。
ハ) 地下水で飽和していること。
ニ) N値がおおむね15以下であること。
ただし、法第6条第1項第4号の木造2階建ての住宅等についは、この「液状化の
可能性」の判断は設計者に委ねられており、建築確認による審査の対象外なのです。
一般の方が、「一生に一度の大きな買い物」である「マイホーム」に建築確認の審査と
被害後の責任所在を争点に係争があっても過去の判例では、「行政責任は問わず」がほとんどです。

「設計者判断」の重要性が訴訟になってから気がついても遅いという事になります。

液状化の法規制 (その4)

現在わが国の「液状化に対する法規制」の中で、「建築基準法」に関する例を示しましたが残り5本の法律についても簡単に要点のみ触れてみます。

「宅地造成規制法」では、
液状化対策についての記載はありません。したがって、宅地造成規制区域において宅地造成工事を行う場合でもその設計や役所による技術審査において具体的に 液状化の検討がなされているケースは少ない。国土交通省から、平成13年5月24日付け国総民発第7号により通知した「宅地造成等規制法の施行にあたって の留意事項について」では、地盤の液状化について、液状化現象により悪影響を生じることを防止・軽減するため、液状化に対する検討を行い、必要に応じて適 切な対策を行うものとする。旨記載されています。

「都市計画法」では、
液状化に対する規制や基準はありません。

「公有水面埋立法」では、
地盤の液状化対策等に関するものはありません。

「住宅の品質確保の促進等に関する法律」では、
「土地や地盤の品質」は対象外であり、液状化についても対象外となります。

「宅地建物取引業法」では、
重要事項等の説明において、宅地建物取引業者の通常の調査で液状化について知りえない
場合には、法的には責任の範囲外と言えます。

このように法規制において地盤の液状化について具体的に示しているものは建築基準法による国土交通省告示第1113号だけであり、実際の建築確認においても構造計算適合性判定がなされる建築物においては地盤の液状化についても審査の対象になっています。

液状化の対策 (その5)

「液状化」に対して「地震動と共振」「法規制」の現状を論じて参りましたので、当然その「対策」や「不動産評価」に関して考察いたします。
いままでの各種の法体系の中でも、基本的に地盤の液状化について、液状化現象により悪影響を生じることを防止・軽減するため、液状化に対する検討を行い、必要に応じて適切な対策を行うことで国民の生命・財産の保護に資する目的にもなります。
しかしながら、具体的に法規制のあるのは「建築基準法」のみです。
国土交通省告示第1113号によって、実際の建築確認においても構造計算適合性判定がなされる建築物においては地盤の液状化についても審査の対象になっており、様々な困惑の局面を全国のご支援の中から見てきています。
液状化によって建築物に沈下障害などが発生する場合は、黄色本にも記述にあるように締固め等によって地盤の改良などを行い、液状化による被害・防止を図る必要がある。
液状化対策となりうる地盤改良には、「締固め工法」「深層混合処理工法」「ドレーン工法」などもご紹介いたしました。
最近では既存構造物の真下の地盤を固める注入工法なども利用され、地盤改良後の地盤の評価には日本建築センター「建築物のための改良地盤の設計及び品質管理指針」や日本建築学会「建築基礎のための地盤改良設計指針案」も参考になります。
また、小規模建築物の液状化被害に関して、最近の調査研究の結果「小規模建築物基礎設計指針」の記述から、地表面から液状化層までの非液状化層の厚さが概ね3m以上存在すると、小規模建築物では被害が一般に軽微と考えられる。

最近では、公共性の強い用途の社会資本に対してより高度な「液状化検討」もあります。地震動の設定に関して、入力地震動についてサイト増幅特性を考慮したものであり、レベル2地震動の「海溝型」と「直下型」の2つの伝播波を用いるものです。
照査内容もより高度化され、2次元有限要素法の地震応答解析や建物と基礎杭の練成モデルの加速度応答解析となります。ここで言う「サイト増幅特性」とは地震基盤上に存在する堆積層の振幅の増大が地震動に及ぼす影響のことです。

液状化の対策 (その6)

「液状化」に対してその「対策」や「不動産評価」に関してまとめと考察といたします。
最近では、より高度な「液状化検討」も前回ご紹介いたしましたが、設定する地震動のレベル2地震動について「海溝型」と「直下型」なのですが、対象位置の 地震計からの観測記録に基づいて設定するのがベストです。設定位置の乖離や気象庁のK-NETのDATAでの経験的関係式で補正して設定しても「振幅・周 期」も信頼性の低下は避けられません。

一般に構造物に対して、高度な検討を「練成モデル」とする場合、地下の評価式は仮説に過ぎない事を念頭におく必要があります。尚、これらの詳細は、独立行政法人「港湾空港技術研究所資料No.1146」などをご覧下さい。
さらに、「不動産評価」ですが過去の東日本大震災の被災後、千葉県浦安市舞浜の土地評価の推移を見ていれば、「湾岸・沿岸」等の地価下落であり「地盤等の 状態」が価格を下げた要因です。土地価格は何をもって決められるかですが、「地盤の良否」が地震と液状化により格差要因として不動産鑑定評価に反映された と考えられます。当然、「地盤の特性」である土壌・土質の情報及び良否や、液状化対策工事費用の把握といった重要な情報が乏しいのが現状です。

インターネット等から「液状化危険度予測マップ」や「土質柱状図」などの情報量も少ないものの活用価値はあるはずです。建築の分野では、建設省告示第 1793号による「地盤種別」が地盤の硬い・軟らかいを区分して「第1種地盤」「第2種地盤」「第3種地盤」にて良否指標を示しており、判断材料になりま す。また、「液状化対策」の工事費用については、適合性や長所・短所、相対的費用等の整理などに関して、十分活用可能な公正な具体的指標や情報の収集や公 開が望まれます。