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荷重及び外力を考える

(H27年09月05日)

安全性の評価 (その1)

「構造のご支援」を「ライフワーク」に全国各地で「学び」の中から感じたり、見えてきたものから、「荷重及び外力を考える」としてシリーズで論評します。 一冊の構造関係技術基準解説書を頼りに「安全性能」について、昨今の法改正や実際の自然災害の被害などから「評価」のあり方も含めて考察いたします。「黄 色本」P-48に「性能に対する要求事項」、P-237には種類の記載があります。政令による荷重・外力は、「固定荷重」「積載荷重」「積雪荷重」「風圧 力」「地震力」の5つの他、実況に応じて(これが難しいが)、「土圧」「水圧」「震動(ふるえ動く)及び衝撃による外力」となっています。

最初は、「風圧力」をテーマに継続して論じます。
「外装材の風荷重評価について(1998年)」など、日本風工学会誌にも論文発表されたり日本住宅・木材技術センターの試験研究所の所長である「岡田恒Dr」が過去に寄稿済みの「風圧力算定に対する考え方」があります。
岡田Drは、寄稿当時 独立行政法人 建築研究所構造グループ長 であり在籍時のお話です。

その中で、告示1454号と告示1458号について「荷重に対する挙動の違い」があります。風圧力qが「外装用」と「構造骨組用」の2つに分けられた事に 対して、「安全性の評価」を二段階にする考え方なのです。すなわち、「損傷限界」と「安全限界」のレベル設定です。用語として「限界耐力計算」でも用いら れています。「損傷限界」では、損傷による劣化等を防止するために補修をする事が多発しないように決めたり、「安全限界」では、建築物が倒壊するのは人命 に直接的な影響を与えるので、そのレベル設定となっています。

弾性限度までは、「多少の損傷を修繕で許容する」であり、終局限界では「人命確保」の絶対条件の限界耐力計算の趣旨を踏襲しています。風工学の学問進歩の 中で、「ガスト影響係数Gf 」を取り入れられており、カナダの西オンタリオ大学ダべンポート(Davenport)博士の提唱によるものです。
「風の乱れ・・・風が変動している」を考慮すると、建築物側でも振動するという前提に立って荷重を決めることなる。今までは、最大瞬間風速を単純な力として風速が1点で変動している事しか考えていなかったのです。

沖縄県での「体感した風圧力」は、バルコニーにある各戸の石綿板の隔て板にYの字状に塑性ヒンジ線が45度で対角状に形成され、その「すさまじい破壊力」 に絶句いたしました。ヒンジ線や応力場を見るにつけ、周辺の支持枠の固定度合いの調整も一因しているとも感じました。また、テラス戸の水切り下枠から湧き 上がるような「吹き上げ」による雨水の室内への流入などの自然現象を垣間見ると、設計上の問題点も提起されます。「自然現象」を相手に大切な技術習得にも なるのです。

外装材の検証 (その2)

「風圧力」の検証に「外装材」をどのようにとらえるか?
とても大切な検証で、外装材は当然ですし支持部材とファスナー部が重要となります。前回の「岡田恒Dr」によれば、非構造部材・二次部材は「外装用の荷重 (告示1458号)」で検証する。母屋、垂木及びその接合部も「構造骨組用(告示1454号)」・「外装用」の両方を見て判断すべきとも言われています。

荷重レベルは、「外装材用」の風圧力が「構造骨組用」より大きくなる。「構造骨組用」は荷重の風圧力の平均ですが、「外装材用」は最大風圧力として風圧係 数が大きくなります。風には「外圧(エクステリアプレッシャー)」と「内圧(インテリアプレッシャー)」があり外装材用は常に「ピーク状態」であっても偏 りもあり平均化しにくいものです。

「構造骨組用」は風圧力を風向きに対して双曲線状分布から直線的に平均化しています。そこには、「風による建築物の振動」もあり「共振効果」からすれば 「靱性」のある場合は構造骨組用の方が大きくなる可能性も指摘していますが、受圧面積の平均的な効果の方が大きく、外装材用の荷重が大きくなる。

建設位置による考慮の中で、告示1454号にある「地表面粗度区分」におけるランクⅡのうち、海岸線又は湖岸線に注意が必要であり、対岸までの距離 1.5kmとか、建築物の高さ13m以下、距離200mを超え31m以下など告示文から規制や除外があるが、冷静な判断を要求されます。法は最低基準を示 しているだけであり「設計者の説明責任」が常に伴う。また、一般に多いランクⅢにおいては、自治体の合併による「基準風速」の異なる場合は告示制定時の行 政区分によるので注意が必要です。

「地表面粗度区分」の境界を現象的に判断は大変むずかしいが、都市計画区域か否かが判断基準にもなります。しかし、風は境界付近では定量化できないのが現 実です。「地表面粗度区分」がランクⅢからⅡになりますと、平均速度圧は1.4倍以上増えますので「設計者判断」が重要になるのです。

風圧力の学び (その3)

「風」による外力を構造物に作用させる時、「圧力」と言う用語で扱います。
荷重といえば、構造物が外部から受ける力であり「風圧力」となります。「風圧力w」は、速度圧qに風力係数Cfを乗じて受圧面積当りの荷重としています。
また、「風力係数Cf」とは構造物の表面上の任意の点の静圧の上昇分と速度圧の比を風圧係数と言うが、これをある見付面積で平均又は標準化して係数にした ものです。気流の流体の全ての圧力と静圧の差を動圧とも言い、これを「速度圧q」と呼んでいます。このベローシー・プレッシャー(速度圧)は、政令第87 条にあるように、q = 0.6EVo^2 (N/m^2)。

この動圧qは、Eと呼ばれる影響係数を考慮しており、Voなる各地の風速を見込ませます。影響係数Eなるものは、告示1454号第1にて、 E=Er^2Gfと示しています。ここで、「ガスト影響係数Gf」が登場します。またErとは、平均風速の高さ方向の分布を表す係数です。この換算には必 ず地表面粗度区分のランク決めが不可欠です。

Erの持つ意味は、平均風速をその建築物が立地している地区の地表面粗度区分における建築物の屋根高さに換算する係数であり、崖地とかビル風の影響を受け るとか、地域的な強風が吹く場合などErを割り増したりします。どの程度割り増すかは、「風洞実験」などによって決定される事が多い。
「風力係数Cf」は、建物形態により「閉鎖型」「開放型」により外圧係数Cpeや内圧係数Cpiを考慮しながら風向により「風上」「風下」など形状別に告示1454号第3以降に規定があります。

また、この告示1454号第3の表5にある「閉鎖型」のCpiにある「0及び-0.2」の取り扱いであるが、これは両方で計算して、厳しい数値で設計する 事を意味しています。風というのは、空気の圧力は強くなったり弱くなったりする難儀な代物であるのです。次回は、テーマを「地震力」にして論評いたしま す。

自然災害の最たるもの (その4)

「自然災害の最たるもの」と言えばわが国では「地震」です。
あらためて、「地震」とは何か?
ひずみの解放によって発生した弾性波が地表に伝播するものに他なりません。地学を履修していれば、地殻やマントル上部で長期間蓄積されたひずみが、岩石の耐えられる限度を超して岩石に「ずれ破壊」が生じる理論もご理解頂けるはずです。

地震波によって、構造物が振動する現象を「地震応答」といい、その時、構造物各部に生じる「変位」「速度」「加速度」「せん断力」「転倒モーメント」など の量として定義する。構造物を1つの質点系に代表させた時、周期を変化させ、各周期に対して地震応答の最大値をとって「波形記録」させたものが「レスポン ススペクトル」であり「応答スペクトル」でもあります。振動解析では、パラメーターとして「減衰定数」をとり、「変位」「速度」「加速度」のそれぞれにつ いて「応答スペクトル」が描かれるのでこれらを利用し、動的解析の入力波を代表するものです。

「地震力」は、地震の動的な揺れを静的に評価して設計荷重として用いています。地震力については、政令第88条第1項には、建築物の地上部分について記述 があります。第4項には地下部分の各部分に作用する地震力について記述しています。地上と地下では扱い方に違いがあり、地下部分は「水平深度k」を用いて います。それも地盤面からの深さH=40mを限度としています。40m以深は「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」により制約があります。

「地震荷重」とは、構造物の設計にあたり地震動の影響を解析できるよう評価して定めた荷重であり、「地震動」とは地震により地面の動き方をいい、地震波形 として、地震計によって記録されます。このような「地震・雷・火事・おやじ」の怖いものの代表格である「地震」は予知できないのでしょうか?

「地震予知」とは、大地震の発生前に起こる各種の先行現象を観測し、そのデータに基づき、発生地震の規模・地点ならびに時期を予測することを目的とした学 問でもあり事業でもあります。測地・検潮・地震観測・弾性波速度・地磁気・地電流・地下水・電磁波等さまざまな分野にわたり精力的に各種の先行現象の観測 が行われているのが現状である。

地震力の学び (その5)

わが国は、「地震国」と言われ、環太平洋に位置した「島弧列島」が北海道から沖縄県に至る南北の長さ約3,200kmの「弓状」に海溝付近に陸地として位 置しています。複雑な「プレート」のせめぎあいの中、「造山運動」「プレートテクニクス」としてマグマの沈み込みが進行し続けております。東日本大震災の 影響から千葉県東方沖のプレートがスロースリップしている事を地球探査機による海底調査結果も過日発表されました。建築の分野で言う「地盤」とはたかだか 深度100m程度です。

地球の半径約6,400kmから比較すればマイクロミクロの極薄い膜状のものを対象にしております。そのような、地表面の上での構築物に対する「地震動」による「地震荷重」として建築物の各部にどのように「地震力」が入力され、どうように「応答」して「応力」となるか?
そこに、使用される「材料特性」として構築物が静止したり復元力の履歴の示し方を学問として追及する必要に迫られるのです。

円弧の接線上の鉛直自立した構築物にどのような「荷重・外力」が想定されるのかは旧知のとおりです。「万有引力」により永遠にマントル方向に自重が作用 し、使用用途により積載があり、積雪もあれば、暴風も襲う・・・しかし、重量のあるものに「慣性力」として加速度が加われば水平面には面内方向へ「せん断 力」となる。これに「鉛直系の要素」が抵抗する仕組みとなり「力の流れ」となって「地震荷重」の解明を要求される。

関東大震災の後、時の「復興院」は「柔」か「剛」かの選択を迫られ、復興建設する側に「経済比較」させ「強度指向型」を採用し、現在の「建築基準法の源流」としたのです。
昭和25年の「建築基準法」の制定、昭和56年の「新耐震基準」へ移行しても、いまだに「耐震基準」での「地震力」の学びの重要性に対して「構造を避け る」風潮がある。このあと、「地震力」の考え方を復習の連続ですが、今一度学びを見直しましょう。先人の英知に感謝しながら時は流れ、高さ300mを超え る「超高層建築物」まで出現していずれ新素材を用いた「耐震」「制震」「免震」へ創意工夫の道をたどるのでしょう。

耐震設計の復習 (その6)

「構造設計を学ぶ」として何度も登場する用語の「地震力」です。
一人の元建築士に端を発した「地震力」の意図的な「一貫計算ソフト」の数値入力に対して「審査出来なかった建築主事」・・・結果として、「構造設計一級建 築士」と「適合性判定」の制度です。「社会資本整備審議会の建築分科会」では第二次答申として「適合性判定制度の見直し」をするようです。また、「ルート 3」に関しても事務的な扱い方や申請側が選択肢を持てるような時代変化も現れるようです。

どちらになっても、「地震力」の重要性は浮かび上がってきます。これは、現在の法体系において、「一次設計(弾性設計)」と「二次設計(塑性設計)」であ る枠組みは変化せずに計算ルート体系の中での運用方法論に注視されているからです。何度も申し上げていますが、「一次設計の構造計算」とは「四則演算」で あり演算結果の「応力度」が「許容応力度」以内であるかです。

しかし、「二次設計の構造解析」は内容が異なり、「崩壊形の追求」です。部材の「降伏」から「塑性ヒンジの形成」と「崩壊メカニズム時」を見届けてDs値 を決めて、必要保有水平耐力Qunを算出します。「終局強度」から「崩壊メカニズム時」の応力を調べて「鉛直系の部材」が持つ「水平な耐力」を寄せ集めて 保有水平耐力Quを計算します。結果としてQu≧Qunを確認する「保有水平耐力計算」なのです。

一番の「学びの壁」は「降伏」「塑性ヒンジ形成」「崩壊メカニズム」「Ds値」でしょう。RC造のDs値は「黄色本」P-362付近に、S造のDs値は P-331付近に記載されており「一貫ソフト」に頼っていると見落としがちな項目もあります。増分解析では、「荷重」増分終了後、「変位」増分になれば 「P⊿」や「Pδ」効果によるプッシュオーバー解析にも注意を要します。「水平剛性」を失いかねない過大な変形角設定などもあり今一度、「黄色本」 P-307の「崩壊メカニズム」状態の再認識をしましょう。