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実務者のとまどい

(H27年09月05日)

改正建築基準法 (その1)

衆議院の解散・総選挙となり、国会提出法案は自動的に廃案となりますが、既に周知の平成26年5月29日、「改正建築基準法」が通常国会にて可決・成立し ています。政府は1年以内に政令・省令を示して施策として推し進めてくる。昨年には大まかな骨格が示されており、「構造計算適合性判定制度の見直し」がそ の中心となる。詳細は平成26年12月下旬に公布されるまで定かでないが、「ルート2」と「ルート3」の事務手続き上の見直しが対象です。

結果的に、「構造計算適合性判定」の「適合性の不適合、適合」のチェック内容は変化なく構造関係法規と黄色本(2007年版建築物の構造関係技術基準解説 書が暫定的であるが)をもとに確認審査・検査の運用解説(マニュアル等)にて行われている。過去、「構造のご支援」として「実務対応セミナー」も幾度なく させて頂いており、またH27年6月施行に対して「ルート2実務対応セミナー」もご用意しました。(HP参照)

啓蒙に微力ながら貢献させて頂いております・・・が、現実はどうでしょう。
名古屋工業大学の市之瀬敏勝Drが、日本建築学会の「2010年RC計算規準」が出版されて2年半過ぎた時点にて、「黄色本の改訂」が5年おきであるとも 触れています。しかし、実際は2007年版から5年なら「2014年版」の原稿草案に対しての記述はない。おそらく、冒頭でいう「改正建築基準法」に伴う 「施行令」「告示」などの出揃いを見極めての改定版となるのでしょう。もう少し、事の推移を見ながら・・と思う今日この頃です。

とりあえず、「実務者のとまどい」と題して「適合性判定関連事項」を論評して参ります。よく指摘される項目内容を「適合性判定」として取り上げ、その趣 旨・背景の解説です。最近多いのがRC造の「付着割裂破壊」・S造の「保有耐力接合」に関するものですがこれについては「過去の連載」にも触れていますの でご参考下さい。「適合性判定機関」については、行政改革の一環として小泉内閣時に「民に出来る事は官が独占すべきでない」の趣旨に合うように、全国1都 1道2府43県の各地ごとに不公平なく設置され、「官と民」に「競争原理」を推奨するような政策を期待します。

需要の少ない地域にこそ、「官」が税金で庶民にご奉仕が必要です。それが「政治」です。1億2千万人の人口維持出来なくなる時代が遠からず見据えているのですから・・・。

改正建築基準法 (その2)

過去、「構造のご支援」として「実務対応セミナー」も幾度なくさせて頂いておりますが
ある程度の啓蒙にも微力ながら貢献したつもりです・・・が、現実はどうでしょう。
確かに、当方の若年期から比較すると、「審査内容の情報開示」は格段に進んでいます。
例えば、(財)建築行政情報センター(ICBA)のマニュアル・チェックリストが該当します。
他にも、「構造設計1級建築士」の「講習会テキスト」の巻末にも「チェックリスト」がありますので、判定員・主事・確認検査員が何をもって指摘しているかは「設計者の学び」が全てを取り仕切るはずです。「黄色本」も基本的に大切な事項が網羅されています。
全国各地で見た「黄色本の存在」での地域間格差や「一級建築士」でありながらこの書籍を見た事がない方など、まさしく「人生いろいろ」です。
少し多くなりますが、「指摘される事項」について「箇条書き」にて解説いたします。

【モデル化】 これがとても難儀です。基本知識が不可欠です。
・構造的な特徴を理解 → 1次設計時 / 解析モデル、解析条件、断面検定条件
            2次設計時 / 解析モデル、解析条件、設計方針
・構造部材と非構造部材 → 明確に示す(完全スリットなど)
・弾性状態の確認 → 支点、基礎ばね、地盤ばね
・剛床仮定 → 非剛床、大きな段差梁(スキップフロアー)における地震力の設定
・励起振動 → 鉛直、水平突出部の1.0ZGによる地震外力
・平面的突出部 → 剛性、変形の把握、力の伝達(接続部スラブ)などの取扱い
・耐力壁 → 力学モデル(壁エレメント置換等)、周辺部材の付加応力(境界効果)

【計算方法】 基本知識が不可欠です。
・構造計算 → 1次設計の鉛直応力・水平応力の計算方法(計算フローチャート)
・構造解析 → 電算処理 / 荷重・変位増分解析
手計算 / 節点振り分け法、仮想仕事法
・使用した基規準 → 該当内容の明記
・使用材料 → 材料強度、大臣認定の認定条件
・設定荷重 → D,Lの整合性、平均建物重量(地震時Qi / A)の構造種別ごとの妥当性
・地盤種別 → 添付地盤調査資料との適正化
・地表面粗度区分 → 都市計画区域の内外と現況認識

改正建築基準法 (その3)

引き続き、「指摘される事項」について「箇条書き」にて解説いたします。

【計算方法】 基本知識が不可欠です。
・建物固有周期計算 → 振動性状を考慮した有効な「建物高さ」の取扱い
・建物固有周期計算 → 精算法 / 部材の初期剛性、最下階支持部に「ばね」は設定しない
           重力式 T = √δ/ C、C=5.0、5.4、5.7
略算法 / T=h(0.02+0.01α)、αの取扱いの認識
・風力係数 → 告示に示す形状と告示値の整合、形状にない場合の設定の根拠の妥当性
・地下壁の土圧、水圧 → 設定方針(静止土圧等)、計算結果の妥当性
・応力数値 → 「剛域」との関係
・部材の剛性低下 → 剛性低下率、耐力壁の開口(γ0、γ1の取扱い、耐力低減はγ2)
・基礎ばね → 使用した場合の最下階の支持条件の確認
・柱 → 「軸伸縮」の取扱い
・剛床仮定 → 不成立時の対応、各部材のバネ取扱い

【一貫計算や電算処等】 過信しないが不可欠です。
・大臣認定と非認定計算ソフト → チェックリストの添付
・直接入力 → 入力数値などの妥当性
・バージョンアップ対応 → 設計期間の長期化と「再演算」の整合性
・個別計算 → 告示対応と計算ソフトの整合性
・各種エクセルシート → 事務省力化の弊害
・計算・CAD連動 → 設計変更時のデータ対応の齟齬

改正耐震改修促進法 (その1)

平成25年11月25日、「改正耐震改修促進法」の施行がスタートしました。
今回の改正のポイントでは、「病院」「店舗」「旅館等」の不特定多数の方が利用する建築物及び「学校」「老人ホーム等」の避難に配慮を必要とする方が利用 する建築物のうち大規模なもの(特定建築物を定めています)などについて、耐震診断を行い報告することを義務付けし、その結果を公表することとしていま す。それも、期間を定めています。
平成27年12月31日までとしており大変厳しい「安全・安心」の施策です。
マスメディア各社がこの施策について「世の中の動き」を報じていますが「苦悩」が見え隠れしています。特に、地方の観光地の老舗旅館は「死活問題」となっています。
政権与党の言う「地方創生」や「人口減少・過疎化」に歯止めが掛かるかもテーマとして浮上します。

需要の少ない地域にこそ、「官」が税金で庶民にご奉仕が必要です。それが「政治」です。1億2千万人の人口維持出来なくなる時代が遠からず見据えているのですから・・・。

平成26年度の国土交通省住宅局関係予算概要によると、住宅・建築物の耐震改修・建替え等安全性への支援として、【耐震対策緊急促進事業 国費:200億 円】を計上しています。改正耐震改修促進法の円滑な施行を図るとともに、住宅・建築物の耐震診断・改修等に係る所有者の経済的負担軽減を図るため、支援措 置の更なる充実等を行うとしています。特定建築物だけでも全国に約4000棟もある現状認識からすれば結論は見えています。
地方自治体でも支援制度もあり活用も考えられますが、自治体の格差によっては取り残される地方の観光地も出てくるから「マスメディア各社」が「苦悩する」との表現なのです。

我々、実務者においては特定建築物の「耐震診断業務」を実施する場合、一般財団法人の「日本建築防災協会」の指定講習会を各構造別(RC造、S造、SRC 造)に受講し、修了証が補助金受領のための「評価委員会」審査に必要な仕組みとなっています。当方も多忙な中、各構造別に全て「修了証」を頂きました が・・・正直、大変です。期限を切られて平成27年に暦が変わると「年末」に向けての業務動向が気に掛かります。

改正耐震改修促進法 (その2)

過去、「構造のご支援」として「実務対応セミナー」も幾度なくさせて頂いておりますがある程度の啓蒙にも微力ながら貢献したつもりです・・・が、現実はど うでしょう。耐震診断・耐震改修も「啓蒙」のため、東洋メディアサービス㈱さまでは「DVD」の収録や地方都市の商工会議所などにアプローチされていま す。

しかし、現実は「企業経営」が先行し、「期限」を切られた「耐震診断の実施」は今後の課題とする気運が多く見受けられます。公表という「ペナルティ」を覚 悟なのでしょうか。折りしも、地方議会の議員による公金横領に近い「政務活動費」の取扱いがTV報道されて地方視察・意見交換会と称して、他府県の温泉地 に視察旅行まで「政務活動費」を充当する議員や、年度末ギリギリに「換金可能な切手の購入」など・・・それを「領収書」があるからと「黙認」する議会事務 局・・・すべて、「公金(税金)の支出」です。

こんな政策・施策によって本当の「民主主義の議会政治」なのか首をかしげたくたくなるのは当然です。与党の国会議員に対する経団連の「政治献金の再開」も同類の中央政治への「判断の揺さぶり」でもあるはずです。
県庁所在地から一日がかりでの遠路にある「地方都市」では、県政に反映される施策に対して地元選出の議員にとなりますが・・・イデオロギーが違えば、共感の伴う議員に懇願したりですが、都道府県単位での「政治パーティー」の出番ともなります。

地方の観光地の老舗旅館の「耐震診断の期限」対応にも「政治的圧力」によって正当性を覆す事態や、「事なかれ主義」のような推移にでもなれば政権与党も「経済政策」との「天秤」から「ブレ」でもあれば「即、失脚」でしょう。
何のための「施策」であり「安全・安心」を「選挙利用」であっては、賢い庶民は政治を信用しません。「不適格建築物」が何故できるのか・・・原点に立ち返る必要があります。

改正耐震改修促進法 (その3)

現状認識として、「改正耐震促進法」について進行形として記述しています。
世の中の推移により、劇的な変化・天地異変・建国以来の未曾有事態でもあればまた「論点」も異なってしまいます。
少なくとも平成27年12月31日までに「耐震診断の実施と報告」は義務付けた訳ですから、実務者においてはこの分野に携われば「否応なく激務」とならざるを得ません。
進捗状況を把握した上で、もし「国土交通省」が「白旗」をあげて「期間延長」でもすれば、「マスコミ各社」「野党」は、それ見たことか・・・と攻撃の矢のはずです。

一級建築士が約35万人、耐震診断資格者と呼ばれる「指定講習会」の修了に伴って実務に携わる方の実況は正直わかりませんが、短期間に4000棟もある対 象建築物に「診断」「評価」「補助金申請」・・・事務の煩雑さが急激に「濃縮」されてくるのは平成27年に入ってからが「正念場」となるでしょう。
事案の進捗状況など「実例」の実態もわかれば、許される範囲において「施策」と「実務」のギャップも問題点として浮上します。

いずれにせよ、霞ヶ関の思うように「事態の推移」が進むかは「時」が解決します。