CLTパネル工法を考える-3
(R4年5月05日)
CLTパネル工法の現状(その3)
CLTパネル工法の現状(その3)
この内容は、R3年晩秋に高知県での「移動執務室」車内で滞在した時のものです。
この論評では「政治イデオロギー」は挟みません。日進月歩の技術革新の進む我が国の
CLTパネル工法について考えて見ますと、設計段階も含めてまず「現状認識」となる。
R3年10月には「木材利用促進法」の改正があり、公共建築に官公庁発注が促進される。
我が国の国産材の利用を促す背景には、政治要素が多分にあり「森林組合」など結社の
自由に基づき公金活用の陳情合戦が今にあるが、やはり長期的に利用減少となっている。
構造別の着工建築物のうち、非住宅に関し低層非住宅建築は鉄骨造(S造)が圧倒的多数と
なっており、改善方向を見出すには「コストバランス」に着目せざるを得なくなる。
いつもなら、「未確定」であっても「ルーチンワーク」に着手ですが、見送りする理由と
なるコスト比較を論じます。比較条件として以下の項目を列挙します。
・庁舎規模 : 延べ面積300 m2
・比較対象 : 木造軸組構法 vs. CLTパネル工法
・木造軸組構法平屋建ての耐力壁、屋根をCLTパネルに置き換える
・CLTパネル使用量は100m3
・CLT造の内装は素地表し
・CLT造と軸組構法の断熱仕様は同等
・設備工事に関してコスト差は無い
結果の概要は
・比較差の最大項目は「躯体費」: 木造軸組構法100 vs. CLTパネル工法317
・内装は素地表しにより大きくコストカット
・直接工事費 : 木造軸組構法100 vs. CLTパネル工法118
CLT価格の安定化、特性の最大限活用により在来工法との競合も可能性がある。
CLT先進国では、CLTパネル価格は7~8万円/ m3である。
CLT普及の拡大に「現状認識」が不可欠となっている。