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学び(連載)

せん断抵抗を考える-22 

(R4年8月25日)

荒川卓先生の研究(その22)

荒川卓先生の研究(その22)

この論評は、約6年前に書き下ろし公開したものを推考し直したものです。

はりの「せん断抵抗に関する研究」では、前回の抜粋にあるように載荷実験の分析となる

が荒川先生の鉄筋コンクリートはりのせん断耐力に関する研究は、北海道大学における大野和夫先生の「大野式載荷」と呼ばれる「単純はり式の載荷」ではないはね出した梁の2点載荷の載荷方式を用いたはり部材の実験(1957年)や、耐力に及ぼす影響の検討に基づく耐力式の提案(1960年)、さらに実験データを追加した再検討(1970年)など長期にわたる研究の賜物であるのです。「単純はり式の載荷」では、曲げモーメント分布が長期荷重時の再現であるものに対して、「大野式載荷」は梁の中央部分に逆対称曲げモーメントを生じさせる載荷方式であり、その後はこの大野式加力が多く採用された。これが改善点である。

大野式加力は、除荷時に支点移動しなければならないなど正負繰返し載荷するのに煩雑な

ことや、軸力導入が難しいこと、大変形では反曲点左右のスパンの同一変形の維持が出来ないことから、後には「建築研究所式加力」が開発され、現在の柱・はりの実験となります。

このように、仕様改良されながら「大野式加力」での実験から1960年の「論文発表」に

たどり着く訳です。まさに、「英知の積み重ね」なのです。

荒川先生の論文タイトル「鉄筋コンクリートはりのせん断抵抗に関する研究」での2つの

実験式(1960年)は以下である。(1)式がせん断ひび割れ強度、(2)式がせん断終局強度である。

τc = = kc (Fc+500)  ・・・・・(kg/㎠)  ⇒ (1)式

τu = = ku・kp (Fc+180)  +2.7・・・・・(kg/㎠)  ⇒ (2)式

1968年に発生した「十勝沖地震」では、RC造建物の柱のせん断破壊や倒壊などの被害

事例が多く、この研究課題の重要性が顧みられたのです。

1970年には、実験部材数も1499体と膨大になり、実験結果の下限値を与える式も提案

されています。その式が下記です。

τc = =  ・・・・・(kg/㎠)  ⇒ (3)式

τu = =  + 2.7・・・・・(kg/㎠)  ⇒ (4)式

ここで、αやβは実験結果から求めた係数である。

平均値を推定する場合を「mean(ミーン)式」とし、α=0.085、β=0.115である。

不合格率5%の下限値を推定する場合を「min(ミナマム)式」として

α=0.085×0.77=0.065、β=0.115×0.80=0.092である。

 

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