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学び(連載)

せん断抵抗を考える-33 

(R4年9月05日)

荒川卓先生の研究(その33)

荒川卓先生の研究(その33)

この論評は、約6年前に書き下ろし公開したものを推考し直したものです。

はりの「せん断抵抗に関する研究」から現在実務における構造設計では、日本建築学会RC規準や「黄色本」と呼ばれる「建築物の構造関係技術基準解説書」、さらに「耐震診断基準」がある。ここでは、「黄色本」について論評します。

我々が2次設計の「保有水平耐力計算」で用いるせん断強度式は、2020年版黄色本P-660に記載のある以下の(付1.3-6)、( 付1.3-7)式である。

Qsu =  {略} bj ・・・(N)  ⇒ (付1.3-6)式 / min式

Qsu =  {略} bj ・・・(N)  ⇒ (付1.3-7)式 / mean式

ここでは、前回の以下の(4)式

τu = Qu/bj = (略) ・・・・・(kg/㎠)  ⇒ (4)式

この式にku、kp、bなどの数値を代入し、SI単位(N、㎜)となるように係数を修正です。

尚、第2項の係数は「2.7」から「0.85」に修正されています。

ここで、(付1.3-6)式 / min(ミナマム)式と呼び、(付1.3-7)式 / mean(ミーン)式である。

告示(平19国交告第594号第4)には係数0.068の「mean(ミーン)式」が掲載されています。

このように、「告示式」に採用される研究はとても価値あるものですが、当時(1961/03/20)の論文末尾には以下の2つを述べられている。

  1. 現行計算規準の安全率
  2. 許容せん断応力度及びせん断補強に対する私案

とても「学び」に値する学術論文である。

圧縮軸力が作用する柱では、軸力の効果でせん断耐力が上昇する事から広沢雅也先生の式

が2020年版黄色本P-665の(付1.3-16)式が示され、耐力壁では2020年版黄色本P-683の( 付1.3-38)式がある。

荒川卓先生は、「論文の結論」として、大地震を受けて部分的な「曲げ破壊」を生じても

降伏ヒンジを作るのみで構造物全体の耐力上からは大きな支障とならないが、「せん断破壊」は斜引張応力による「斜めきれつ」がコンクリートの損傷拡大で決定的な破壊をもたらす危険を伴う「せん断破壊」の最も恐れられている所以を説いている。

このように次々に諸式を導いて頂いた先人の英知に、実務者は感謝しなければなりません。

 

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