(R5年10月25日)
CLTパネル工法の今後(その2)
CLTパネル工法の今後(その2)
この内容は、R5年盛夏に長野県での「移動執務室」車内で滞在した時のものです。
この論評では「政治イデオロギー」は挟みません。日進月歩の技術革新の進む我が国の
CLTパネル工法の今後についての論評であり、設計や施工から「需要と供給」となる。
R3年10月には「木材利用促進法」の改正があり、公共建築に官公庁発注が促進される。
我が国の国土面積は約3,780ha(外務省資料)に対して、森林面積は約2,500ha(林野庁資料)となっており約66 %が森林である。
国産木材供給量は、住宅着工数の減少や木材輸入の全面自由化等により長期的に減少
となっている。
上記の「社会環境」から、住宅だけに限定せず多用途に「森林資源」の活用が期待される。
現在、「CLTパネル工法」について構造関係規定を取り上げると、2021年改訂版 構造設計
一級建築士講習テキストP-240に「耐震計算ルート」がある。
このテキストにあるように「CLTパネル工法」には、小幅パネル架構、大版パネル架構①、
大版パネル架構②の3種類がある。
大版パネル架構①は、終局時に垂れ壁・腰壁部分が分割される事を想定し、
小幅パネル架構と共に「分割型」と呼び、大版パネル架構②は「一体型」と呼ばれています。
現状は、技術基準での対応から耐震計算ルート1が多い。
その上、小幅パネル架構以外は細部の規定から事実上耐震計算ルート1で建てれない。
ここで、「需要と供給」となると耐震計算ルート1で建てる希望が多くその乖離には
なお一層の技術基準の研究や知見も伴って、すぐに経済効果は期待しがたい。
「木材利用促進法」の改正があり、公共建築に官公庁発注が促進されるが中小の設計
事務所・工務店に自助努力を求めても二の足となるのは明白である。
在来軸組とCLTパネル工法のランニングコストは、過去に「連載記事」に公開済みです。
結果として、「様子見」に推移すると予測しています。
しかしながら、「隠岐の島」など観光地の「CLTパネル工法」によるリゾートホテル建設
によってメディアでの公開もあり少しずつ認知度も上がっているのも事実です。
我が国は、資本主義社会ですから「資金力」のある企業戦略に振り回されますが、例えば
市街地においても法改正から木造6階建ての「CLTパネル工法」の建築物も登場します。
持続可能な開発目標SDGsの最たる実践例なので、時間の許す限り先進地の建設例にも
取材を予定しています。