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アンカーボルトなど

(H27年05月25日)

アンカーボルトを考える(その1)

過去の連載において「露出型柱脚-2」で触れたアンカーボルトについての論評です。

建築基準法施行令第66条に「柱の脚部」として、アンカーボルトによる緊結等により

基礎に緊結しなければならない。となっており、「基礎に緊結する構造方法の基準」は、

告示 平12建告第1456号に詳しく定めています。

そこで、「アンカーボルト」について少し掘り下げて考えてみます。

 

「アンカーボルト(anchor bolt)」とは、柱脚や土台をコンクリート基礎に緊結するために

用いる埋め込みボルトである。小屋組を躯体に緊結するときにも用いられます。

必要に応じて、抜け出し対応のためボルト先端にかぎ状のフックや定着板と呼ばれる

アンカープレートを付けたり、建築物の屋上に載荷する高さのある電波塔等の脚部などは

アンカーフレームを組むこともあります。設置誤差吸収のため多くの考案(特許)があり

最近はケミカルアンカー工法も用いられています。

 

上記の告示の中では、鉄骨造の柱脚部において一の「ニ」と「ホ」が重要な文面です。

すなわち、

ニ 柱の最下端の断面積に対するアンカーボルトの全断面積の割合が20パーセント以上

  であること。

ホ 鉄骨柱のベースプレートの厚さをアンカーボルトの径の1.3倍以上としたものである

  こと。

結局、この仕様規定が守られるためには、アンカーボルトの径について理解が必要となり

「アンカーボルト」そのものについての再認識となります。

告示の中では、アンカーボルトの径として「d」の記号を用い、単位は㎜としています。

従って、インチ単位ではないのですが、実務では「ウイット径」にも触れざるを得ません。

 

 

 

 

 

 

(H28年06月05日)

アンカーボルトを考える(その2)

前回、「ウイット径」に触れざるを得ない・・・としたのは、「建材の商品取引」に

おいて、「メートルねじ」と「ウイットねじ」が存在するからなのです。

構造用アンカーボルトの材料は、2000年改正された建築基準法で、はじめてSN鋼

(JIS G 3136)とSNR鋼(JIS G 3138)が指定材料となり、JIS規格のSNR鋼より厳しい

規制値を設けた「建築基準法の指定材料」なのです。

 

ウイットねじ・記号(W)とメートルねじ・記号(M)について理解しましょう。

ウイットねじは、イギリスのウイットウォースの考案によるもので、ねじ山の角度が

55度のインチねじです。1968年にJIS規格は廃止されたのですが、現在も一部業界で

使われています。このウイットねじの基本的な考え方は、1インチが基準で、これを

1/8単位で分けて、その分子を径の「呼び名」としています。

1インチは、約25.4㎜ですから、1/8は3.175㎜です。

1インチの中にある山数で表示されます。㎜に換算するには25.4を分母で割りって分子を掛ければ出てきます。(例) 3/8(3分ねじ)→25.4÷8×3 = 9.525㎜です。

よく使うWねじとMねじを対比させますと

W 1/2 = M 12 、W 5/8 = M 16 、W 3/4 = M 20 、W 7/8 = M 22 、W 1’’ = M24

 

アンカーボルトの径では、軸部径として

M 12 = 10.7㎜ 、M 16 = 14.56㎜ 、M 20 = 18.22㎜ 、M 22 = 20.22㎜ 、

M 24 = 21.88㎜ 、M 27 = 24.88㎜ 、M 30 = 27.54㎜

Mねじの径と言った場合は、ねじ山の頂点の最大径です。

 

(H28年06月15日)

アンカーボルトを考える(その3)

設計方法については、(出展 : Wikipedia参照) がお役に立ちます。

  • アンカーボルトに生じる引張り力とせん断力を計算する。
  • 下の表を参考に、(1)コンクリートからの許容引抜き力、(2)アンカーボルトの許容引張り力、(3)アンカーボルトの許容せん断力を計算し、アンカーボルトに生じる引張り力とせん断力を超えないように、太さ・材質・埋め込み長さを決定する。引張りについては、下記の表の(1)と(2)のうち小さい方を採用する。なお、(1)が(2)より小さい場合、コンクリートの破壊が先行しもろい破壊となる。逆に(1)が(2)より大きい場合、鋼材の降伏が先行し、粘り強さに富んだ破壊となる。耐力壁など、耐震性を必要とする箇所では、(1)が(2)より大きくなるように設計する。

 

長期

短期 (荷重のかかる時間が 1時間以内)

(1) コンクリートからの許容引抜き力

許容付着応力度σa[N/mm2] = 0.7 付着面積Aa[mm2] = 直径D[mm]×π×埋め込み長さL[mm] 許容引抜き力[N] = σa[N/mm2]×Aa[mm2]

許容付着応力度σa[N/mm2] = 1.4 付着面積Aa[mm2] = 直径D[mm]×π×埋め込み長さL[mm] 許容引抜き力[N] = σa[N/mm2]×Aa[mm2]

(2) アンカーボルトの許容引張り力 (SS400の場合)

許容引張り応力度σt[N/mm2] = 235÷1.5 ねじ部断面積An[mm2] = 直径D[mm]2×π÷4×0.7 許容引張り力[N] = σt[N/mm2]×An[mm2]

許容引張り応力度σt[N/mm2] = 235 ねじ部断面積An[mm2] = 直径D[mm]2×π÷4×0.7 許容引張り力[N] = σt[N/mm2]×An[mm2]

(3) アンカーボルトの許容せん断力 (SS400の場合)

許容せん断応力度σs[N/mm2] = 235÷1.5÷√3 ねじ部断面積An[mm2] = 直径D[mm]2×π÷4×0.7 許容せん断力[N] = σs[N/mm2]×An[mm2]

許容せん断応力度σs[N/mm2] = 235÷√3 ねじ部断面積An[mm2] = 直径D[mm]2×π÷4×0.7 許容せん断力[N] = σs[N/mm2]×An[mm2]

 

 

※各種許容応力度は、建築基準法令90条・91条及び建設省告示第2464号による。

※ねじ部断面積Anはおおよその値であり、詳細は製品の仕様書による。

  • 鉄筋の混み具合などを考慮して、本当にアンカーボルトがその位置に納まるかどうか検討する。納まらない場合、アンカーボルトの位置・形状・太さ・長さ・数量などを、計算した引張り力・せん断力を下回らないように変更する。

 

 

 

(H28年06月25日)

アンカーボルトを考える(その4)

過去の「露出型柱脚-2」の論評をもう一度考え、世の中の推移を理解しましょう。

アンカーボルトの規格について、なぜ様々なのか。そのことについてである。

2015年版黄色本には(社)日本鋼構造協会JSS規格、JIS規格を列記しています。

なお、この両規格は2015年3月まで併存したが、2015年4月からJSS規格が廃止

され、JIS規格のみとなっています。

宇都宮大学の田中淳夫名誉教授によると、JIS規格制定にあたって

 

現在、建築基準法上は、アンカーボルトセットについては明確に規定されておらず、ボルトが直線状の鋼棒の両端にねじ加工したものとして鋼材の扱いになっているが、ナット、座金については全く規定がない。この転では、JIS規格のアンカーボルトもSS材の棒鋼に

ねじ加工したアンカーボルトも法的な扱いに差はないものとなっている。

しかし、JIS規格としてアンカーボルト、ナット、座金がセットとして制定されたことは

画期的であり、建築基準法では原則として構造材にはJIS規格品を使用することが規定されていることを考慮すると、今後構造品質が保証されたアンカーボルトセットとして法的

に認知された使用に道が開ける可能性があり、この点は大いに期待する次第である。

 

と論評されています。さらに、(ムラ勢力争い)と揶揄したことについては

2010,10~2015,3を併存期間(移行期間)とし、JIS規格の2010,10の制定がJSS規格の

2015,3をもって廃止となったのです。

 

 

(H28年07月05日)

異形棒鋼を考える(その2)

露出型弾性固定柱脚工法において用いられているアンカーボルトは「異形棒鋼(SD490)」である。一般には、伸び能力のあるアンカーボルトを採用しているため、降伏比0.75以下の素材を転造ねじ加工したもの、またはねじ部と軸部の断面積が同一のねじ鉄筋を採用しており2015年版 建築物の構造関係技術基準解説書 による軸部の全断面降伏までねじ部が破断しない性能とする「伸び能力のあるアンカーボルト」の基準を満たしています。

異形棒鋼(SD490)のアンカーボルトとコンクリートの付着等で、定着性能を有するのです。

 

そこで、異形鉄筋について考察してみます。SDとは、steel deformed の略です。

コンクリートに対する付着力を高めるため、リブ筋などを付けたもので、横断面が円形の

異形丸鋼( deformed round bar )と呼んでいます。

また、細物などよく用いる「SD295A」と「SD295B」の違いは、降伏点及び引張強さに

違いがあります。機械的性質では

SD295A → 降伏点又は0.2%オフセット耐力が295N/㎟以上、引張強さが440~600 N/㎟

SD295B → 降伏点又は0.2%オフセット耐力が295~390N/㎟、引張強さが440 N/㎟以上

ただ、SD295Bは生産されていないので、SD345で代用が多いです。

異形棒鋼には「種類を区別する表示方法」がJIS規格で定められています。

いわゆる「ポンチマーク」と呼ばれ、「圧延マーク」を意味しています。

また、製品の片端面に塗布される「色別塗色」の2つの表示方法です。

「圧延マーク(ポンチマーク)」では

SD295A → 突起無し、SD345 →突起の数1個、SD390 →突起の数2個、

SD490 →突起の数3個

「色別塗色」では

SD295A → 塗色無し、SD345 →黄色、SD390 →緑色、SD490 →青色

これらは、実務者においても工事現場で「確認しやすい」内容の項目です。

 

(H28年07月15日)

異形棒鋼を考える(その3)

最近では、通常、鉄筋といわれるのは異形棒鋼(SD材)を代表するようになりました。

違和感もなく使われるのですが、その内容は以外と未知な部分が多いのです。

例えば、D10から始まって、建築構造物では規模にもよりD32程度まで多用されます。

では、その他はどうでしょう。実際、いくらの径まで世界中で生産されているのかを

調べると、ロシアではD82までありました。わが国では最大D51までとなっています。

国内生産では

D10、D13、D16、D19、D22、D25、D29、D32、D35、D38、さらにD41、D51です。

D41は10.5kg/m、D51は15.9kg/mと単位質量も大きく大型の橋梁やトンネル工事、

治水灌漑、ダム工事などに用いられます。

異形棒鋼には面白いことがあります・・・それは、「直径を測れない」ことです。

この測定項目としては、単位質量・節の高さ・節の平均間隔・リブの輪の最大値です。

直径が測定出来ないため、JIS規格では「公称直径」として仮想の径をとっています。

また、色々な「異形棒鋼関連用語」もあり調べると楽しくなります。

例えば、「異形コイル」とは、細物に多く

節やリブのある異形棒鋼をコイル状に巻いたもので、直棒と比べて加工時のロス(切断しろ)が減少し歩留まリが向上するとともに、多様な形状・寸法に対して効果的な加工が可能ですし、材料保管でもスペース節約にもなります。

また、「シルバー異形筋」とは

異形筋を溶融亜鉛めっき加工したもので、耐食性をもちます。これは、他の防錆鉄筋の

ように移動や配筋の際に特殊な治具を使う必要もなく、通常の鉄筋加工や作業が出来ます。

また、特殊な用語として「犠牲防食作用」とは

溶融亜鉛めっき加工を施したシルバー鉄筋に、なんらかの理由で傷がついた場合、周囲の

亜鉛が「陽イオン」となり、電気化学的に鉄の腐食を抑制する作用をいい、「亜鉛特有の

イオン化傾向」と理解すれば解ります。

最後に、「高炉」と「電炉(電気炉)」の違いについて

「高炉」→ 鉄鉱石とコークス・石灰石等を入れ、熱風を送銑鉄や粗鋼、鋼材等を造る円筒形の炉のことで、「溶鉱炉」として代表されます。

「電炉(電気炉)」→ 鉄スクラップを主原料とし、電力を用いたアーク熱で鉄スクラップを

         溶解する炉のことで、鉄と炭素の合金からなる普通鋼を生産します。

         棒鋼、形鋼、線材などを主製品としています。