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経済再生と鋼材リユース 

(R2年10月15日)

コロナウィルス禍のあと (その1)

コロナウィルス禍のあと(その1)

令和元(2019)年末の中国・武漢市で発生した「新型コロナウイルス」により、瞬く間に

世界中にウイルスが蔓延となりました。我が国では、時の総理大臣の「中国の主席」の

国賓として招待・五輪の開催に主眼があり、「初動の疫病対策」が後手との指摘が多かった。結果として、「観光業」の「インバウンド」による外貨獲得に経済目線があり「失策」と

揶揄されてしまった。

大陸製品に頼る我が国の「経済システムの再生」には付加価値の高い製造業の「国内生産」へ舵を切るはずです。「低廉なサプライ等」の調達は東南アジア諸国にシフトしていく。

そこで、考えられる我が国の「経済再生」の切り札として「工場建築物」の鉄骨造への着眼点となります。神奈川大学工学部の藤田正則教授の「鋼構造の部材リユース」も何度も知見を読み返しています。

日本建築学会の「鋼構造環境配慮設計指針(案)-部材リユース-2015,12」にも掲載されて

おりますので実務者には役立ちます。「リユース」ですから「性能化と評価」が基本です。

過去にも触れましたが、「いきなり、生産増やせ」だの「製作工場を整備・拡大せよ」の

政策転換にはかなりの時間を要して現実味を帯びません。だから「リユース」なのです。

この論評の記載時に「政権交代」も考えられますし、「社会的な不安定」も見え隠れです。

過去に触れた告示1103号の製作工場に「グレード」を付けて品質確保を目的としながら、実際には各工場の「格差」を生むことになり、企業の存在意義に関わるものでした。

我が国の建築工事の中で、「鉄骨造」の割合はかなり多い。わずかなton数の軽微な建物

から超高層ビルまで関わりのある「鉄骨製作工場」について経済再生から再度考えます。

我が国には、「全構連」や「鉄建協」などの鉄骨製作工場の諸団体があります。

「結社の自由」は日本国憲法に保障されている限り、自由です。

「全構連」の会員構成は正会員として都道府県単位に準じて47団体、構成企業は2019年6月7日現在、2,212社にのぼっています。

鉄骨製作工場が適正な品質の建築鉄骨を生産・供給するために必要な品質確保能力と技術力を保有して発注者に証明されるものであるなら、「大樹の陰」による政治的な権力抗争に

加担すべきものではないのは当然なのですが、「国政選挙」時の各候補者の政権与党事務所に毎回のように「推薦状」などが掲載されております。

その掲載団体と政治家との「癒着」も問題視されますが、悲しいかな是正されません。

「経世済民」であるべき「経済再生」のシステムが一部の「利益誘導」によってゆがめられています。とても残念です。

 

 

(R2年10月25日)

コロナウィルス禍のあと (その2)

コロナウィルス禍のあと(その2)

世の中の推移に唖然としながら、「外出自粛要請」や「緊急事態宣言」などに経験のない太平洋戦争時の「大本営発表」のように「疑心暗鬼」に駆られています。

大多数の方がそうであるように「新型コロナウイルス禍」の情報は「インターネット」により、瞬く間に世界中に情報として流れますし、受け止める手段としています。

我が国では、首相官邸のHPの内容を「Yahooのコメント欄」には検閲が入っているよう

ですので、いわゆる「忖度・お友達優遇」程度の官僚主義との指摘が多かった。

結果として、「知る権利」の「失策」と揶揄されてしまった。

自由と民主主義と言いながら、長期にわたる政権では「清らかな水」は流れずに「よどむ」結果ばかりが目につきやすくなります。

大陸製品に頼る我が国の「経済システムの再生」には付加価値の高い製造業の「国内生産」へ舵を切るなら、まずは生産向上になる。「建築着工数」でもダントツに多い鋼構造です。

そこで、「工場建築物」の鉄骨造への着眼となりますが、再生鋼材の利用を論じます。

神奈川大学工学部の藤田正則教授の「鋼構造の部材リユース」も何度も知見を読み返し

鋼材のリユースにつき、「部材リユースの設計法」になります。

日本建築学会の「鋼構造環境配慮設計指針(案)-部材リユース-2015,12」にも掲載されて

おりますが、「部材を弾性状態」とする「弾性設計」と力学性能を低減して用いる「弾塑性

設計法」となります。「再生鋼材」ですから「適合性評価」「規格材評価」「F値(材料強度)

の設定」、かつ「過荷重・火災経験の有無」などから設計フロー判定となります。

TV番組の「ビフォーアフター」ではないが、「八丈島・波照間島」での建材再利用の知恵

も映像から読み取れますが、出演者の「経験の有無」も参考になり気候風土に適するなど「英知の結集」を垣間見ています・・・あるものを有効に利用する精神なのです。

過去に当方が市内で「リフォーム」を手掛けていた時、朝日放送からTELがあり「報酬」を出すので「リフォーム」を撮影させて欲しいとのこと・・・工務店は「即座にNo!!」と

言うので理由を聞くと「視聴率UP」に「わがままな映像」を撮影させられた経験があり

「やらせ」にお付き合いは出来ないとの内容でした。

どの業界・業態にも「需要と供給」の上に「バランス」が大切です。

今時、「お国の為にご奉仕」なる信条をもって取り組む方は「特別天然記念物」でしょうか。

当方の「勉強会」も「滅私奉公」と揶揄されたこともありますが、「ライフワーク」なので

気にしないで「学問のリユース」と考えればいいと思う。

(R2年11月05日)

コロナウィルス禍のあと (その3)

コロナウィルス禍のあと(その3)

日本を代表するような「巨大な自動車メーカー」として君臨する「トヨタ」ですが

「コロナウイルスの感染拡大」から、「工場の生産ラインの一時停止」や「取引銀行に緊急融資枠」などに経験のない「先手」を取りながら「異業種との連携」に取り組んでいます。

紡織機の生産から始まった「自動車産業」に情報を取り込むのは「生き残り戦略」になり、世界の中に確固たる地位を築く企業の先見性なのでしょう。米中の「覇権」争いになる

とかの新聞記事を「国際欄」に見ると、「東南アジア」が唯一その戦略ゾーンになる。

一時期、「ルノー」に助けられた「日産自動車」は生き残りに大きな障害となっています。

結果として、「治水」と同じように「情報を制する」のが企業論理なのです。

大陸製品に頼る我が国の「経済システムの再生」には付加価値の高い製造業の「国内生産」へ舵を切るなら、まずは鋼構造での「工場の多角的整備」が不可欠です。

そこで、「工場立地」での「リスク分散」も着眼点となります。地震国である我が国に

「火山噴火」や「直下型巨大地震」でもあればたちどころに「機能不全」に陥るのです。北海道の胆振地震で道内の電力供給停止から「ブラックアウト」も経験済みなのです。

過日、「ホンダ」の工場内に「巨大な自家発電設備」の建屋の構造設計に関与した経験から我が国の「技術レベル」の高揚さには他国から見れば知見として利用されるはずです。

だからこそ、「資源のない国」に鋼材のリユースは、「最も適する」設計法になります。

日本建築学会の「鋼構造環境配慮設計指針(案)-部材リユース-2015,12」にも掲載されて

おりますので、是非一読され実務者として社会貢献も必要と考えます。

次回は、「部材リユースの設計法」について論じます。

 

 

(R2年11月15日)

コロナウィルス禍のあと (その4)

コロナウィルス禍のあと(その4)

当方の活動を「TVカメラ」に収録し「DVDセミナー」を経験しておりますが、その

撮影は「東洋メディアサービス㈱さま」が担当してくれました。

この企業の社長さまが突然の「くも膜下出血」で病床の身となって会社を閉じられました。

当初は、「六甲アイランド」にある会社の貸会議室でしたが、その後は大阪のど真ん中の

高層ビルの13階の会議室でした。

毎回、カメラ・音声・調整のスタッフで無人の壁を背景に朝から夕方までの「収録」を

行ったあと、「ミキシング」と呼ばれる「編集」ですから気の緩む間はありません。

これは、「教育カテゴリー」を世の中の推移にあわせ「情報化」を進めた結果です。

当方は「IT機器応用技術」による「オンライン学習」への的確な挑戦を模索中です。

今後の「経済V字回復」を狙う政策に振り回されますが、情報を取り込むのは当方にも「生き残り戦略」になり、社会貢献企業としての立ち回りを考えてまいります。

さて「鋼構造環境配慮設計指針(案)-部材リユース-2015,12」にもありますが、実務者として社会貢献も必要と考えますので、「部材リユースの設計法」について論じます。

まず、「弾性設計」を論じます。

リユース部材は、規格材種が不明であるが「F値(材料強度)を設定」出来る場合、あるいは

使用条件において「弾性状態」の範囲内であることが確認の場合に適用出来るものです。

部材および接合部の降伏耐力は、その有効断面積に対して「許容応力度設計」を適用して

算定するが、終局耐力は算定しないとなります。

また、外力に対して「構造形式」は「強度指向型」となりますので、線材置換や平面保持

の仮定などに基づく「弾性応力解析」によることとなります。

鋼材は通常、「靭性(ねばり)」に富んでいるため、弾性設計の範囲でも局部的な「塑性化(降伏すること)」による応力の再配分の効果も期待できる。

リユースの「冷間加工」においては、降伏耐力が上昇し、安全な判断もできる。

降伏耐力は、品質評価が前提であり材料強度F値を用いて算定となります。

リユース部材は「残留応力(外力を取り除いても残る応力)」や形状の初期不整がある場合

新調材と比較して弾性限界の耐力が小さくなる可能性がある。新調材と同等品となるには

鋼材のさび・過荷重(大地震の経験、風害、積雪)による塑性化・火災履歴以外に経年劣化が

少ないことが必要である。残留応力・形状の初期不整の大きな変化によって、座屈安定が

乏しくなり耐力低下となるので、限界細長比に近い圧縮材や大きな幅厚比を有する部材は

新調材と同様にそれらを考慮する。

 耐震設計の一つである「損傷制御設計」を用いると、「損傷」を「エネルギー吸収部材」に限定することが出来る為、「部材の弾性設計」が可能となり、リユース部材が使用出来る。

「アンボンドブレース」を制振部材として新調すれば架構内にK型筋かいとして用いた

場合、柱・はりのリユース部材に対して弾性設計が適用できる。

小梁や間柱など二次部材のほとんどは弾性設計である許容応力度設計が可能である。

 

 

 

(R2年11月25日)

コロナウィルス禍のあと (その5)

コロナウィルス禍のあと(その5)

前回は、「弾性設計」でしたので今回は「損傷に留意した設計」を論じます。

リユース部材は、規格材種が判明していても、新調材と異なり「切断」「孔あけ」「ピース類の溶接」など既存建物に同調した加工や製作を余儀なくされます。

このような場合、長期にわたる劣化、使用による当て傷や曲がりとか変形、あるいは減肉などが存在する場合や、リユースでは溶接接合部のずれ、食い違い、表面欠陥・内部欠陥も生じている可能性がある。さらに、地震・火災、溶接、冷間加工などにより力学性能の

低下の影響も考慮し、残留応力や残留変形が存在している事もある場合の設計対応である。

部材の塑性変形能力は、部材ランクを新調材と同等又は1ランク下げるなど、損傷の程度に応じて評価することが大切である。ランク低減の方法は、損傷の種類、構造形式、あるいは対象とする力学性能によって異なります。

圧延鋼材においては、H形鋼(新材)にはフランジ先端に圧縮残留応力があり、横座屈荷重が

低下するが、残留応力の数値や分布が変化すれば更に大きく低下して「横補剛要件」などが変化する。

部材ランクは「幅厚比」などによって定まるが、「局部座屈」の生じやすい形状の初期不整や残留応力が存在する場合には、新材の場合に比較して「低い部材ランク」とする。

 また、降伏耐力の上昇によって、崩壊メカニズムや保有耐力接合の条件の変化が予測される場合などには、その適切な影響評価も必要となる。

接合部の変形能力は、基本的に接合される部材との「強度差」によって定まる。

結果として、保有耐力接合の条件を満たすか否かで変形能力の有無を判定する事となる。

このような場合、溶接継ぎ目のF値を低減して保有耐力接合の条件を確認する事となる。

架構に必要な「構造特性係数Ds」を適切に割増す方法もあるので、例えばDsを0.05割増すことは、「露出型柱脚」を含む架構でも慣用されています。

架構に必要なDsを新材の場合より大きくすることも一つの方法である。

鋼材は温湿度条件が屋内環境の程度であれば、「さびの発生」は少なく、強度や靭性に影響を与えることは少ないので、概ね「新調材の架構環境」と同等であると考えられる。

 

 

 

(R2年12月05日)

コロナウィルス禍のあと (その6)

コロナウィルス禍のあと(その6)

最後は「弾塑性設計」と「展望」を論じます。

資源のない我が国では「鉄鉱石」の輸入から「高炉」ので生産になる。これに対して

リユース部材は、すでにある鋼材の有効利用なので入手の用意性は歴然としている。

「弾塑性設計」は、リユース部材が品質評価で新材と同等であること(規格材であり、かつ、過荷重・火災の経験が無いこと)を確認した後、新材として同様に設計する方法である。

この場合、現行の設計法が適用可能となる。

現在、部材リユースの実施例のほとんどは、部材の損傷が無いかあるいは同等と判断されており、この弾塑性設計が使用されている。

将来の「展望」は、注文主の「建物に対する価値観」とも絡むが耐用年数も含めて「遜色」はなく「経済再生」にとってもプラス要因である。

今後は、国土交通省が「啓蒙活動」をしっかりと「奨励」し「採用拡大」に主導すべきで

あり、「税制」にも配慮すれば不法投棄も減り、「ゴミ処理」も削減されますし「環境整備」にも役立つものとなります。

国策に旧守の政治家の淘汰にもなる「若い世代」の主導的な関わりと、老練な「叡智」を上手く嚙合わせる「政治」が今後に展開されることを期待していますが、「政治の現状」を

見ると、「Go To政策」でアクセルとブレーキの基本がズレており、本来あるべきコロナ後の施策を前倒しの結果に国民の政策判断の機会を待つのみです。

 

 

 

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