(R2年12月15日)
黄色本2020年版の改訂 (その1)
黄色本2020年版の改訂(その1)
毎日「実務」「審査」など多岐にわたり利用の多いもの・・・ですが、2015年版が
発行され、2016・2018年には「追補」まで出たあと約5年の歳月を費やしてR2年
11月10日にテキストの一般販売開始となり、地元の書店にて入手いたしました。
主な改訂内容は、以下の通りです。
今般発行される「2020年版 建築物の構造関係技術基準解説書」は、
2015年版第4刷に対し、新たに以下の項目を収録したものとなっています。
(一部の内容は「2018年追補」に含まれています。)
(1) 2015年版(初刷)以降の質疑(Q&A)の反映
(2) 2015年版第4刷以降の基準改正や技術的知見の反映
(伝統木造に関する基準の合理化、小規模建築物・仮設建築物の一部規定の緩和、
新たな材料に関する規定の追加、構造計算に関する規定の追加など)
(3)各種災害を踏まえた状況と対応に関する記述の追加
(4)その他、条文や参考文献の更新,記述の整理・明確化など
「黄色本」と呼称されるこの文献は、「建築物の構造規定」があり実務者にとって座右の
友であり、「羅針盤」のような存在です。それは、監修として国土交通省が関与して法体系の隅々まで編集協力しているのです。
我々実務者を取り巻く環境は、親方日の丸ではありません。ただ単に、外郭団体の存続や
利益誘導だけに甘んじる印刷齟齬・ミスの多い解説書に読者はしっかりと見届けています。
印刷会社はどこで、どのように発注されているのか、発行所の「全国官報販売協同組合」
なる団体とは・・・もっと「情報公開」が必要と思われます。
時に、行革担当大臣の「印紙」の廃止で困るのは「法務局内にある外郭販売団体」です。
資本主義社会の経済活動のコロナ禍の中、厳しい「経営」を強いられているのが大半です。
その事により「中央集権国家」として揶揄される原因なのです。
本来コロナ後に行うべき政策を前倒しの「Go To政策に疑問符 ? 」を誰もが感じています。
既に、政治のイニシアティブ(主導性)を喪失している。
R3年には「衆議院選挙」、しっかりと見据えて投票という「国民の権利の行使」です。
(R2年12月25日)
黄色本2020年版の改訂 (その2)
黄色本2020年版の改訂(その2)
我が国の政治での施策についての論評は差し控えますが、真面目にやればやるほど
馬鹿らしく思えることが多々あります。
元1級建築士の耐震偽装を恨むことより、日々研鑽し、日進月歩の技術進歩に真摯に
取り組み建築基準法の構造安全性に対する信頼を少しずつ取り戻して社会評価を受けて
世の中に出来る貢献で、ライフワークとして人生観の中へ据えられるよう心したい。
名古屋工業大学の市之瀬敏勝先生の言葉を借りますと、「人間は間違える動物である」
そして「欲望のかたまり」である。だからこそ、各種の検定・考査において欲望から
墓穴を掘るとまで言われて、妙に納得するものがあります。
改めて5年ぶりにリニューアルされて発行された「黄色本2020年版・第1版第2刷」を
手に取って初めて見た印象は、10月26日に第1刷とあり11月9日で第2刷とは・・・。
また、全国の実務者からの「印字ミス・齟齬」で修正を余儀なくされるはずである。
また、黒傍線部の今回の改訂により「新たに変更された部分」の内容を見てずいぶん
あちこち文面に手を加えている・・・大変だな。です。
11月中旬に地元の書店で入手した「黄色本2020年版」2冊、重さにして約4kgあります。
R2年11月は、この2冊のうち1冊を裁断し校閲しやすい形式にして2015年版と全容に
ついて、798ページを1行1句調べ上げたのです。今年の当方行事も全て終了しており
時間の許す限り細部の記述内容の照査であり、諸行無常の修行の様相を呈していました。
いずれまた、「正誤表」なるものが印刷物として出される。
早速、第2刷でも「印字ミス」です。P-673の27行目(付1.3-27式)が正しい。
P-716の付図1.4-5は、何故か同じものが2面追記されている・・・いずれ「正誤」か。
一冊の本を出版する苦労は、協力させて頂いた京都の上野嘉久先生の「実務から見た・・・」にてよく存じており、「出版社」とのゲラのやり取りに2年はかかります。日々の照査中にまたインターネット上の日本建築防災協会のHPに次から次に「正誤」が公表されると
なると溜息です。もっと、真摯に取り組んで頂きたいのが読者の総意です。
印刷会社に急がせた理由があっても、編集の責任として「正誤の連鎖」では心もとない。どの程度、表現をより判りやすくすることになったか・・・そこが読者の注目の的である。
(R3年1月05日)
黄色本2020年版の改訂 (その3)
黄色本2020年版の改訂(その3)
過去に、この「構造を学ぶ<連載>」にて、黄色本をテーマに取り上げました。
「いまさらながら黄色本」としてこの本の重要性を論評しています。2015年版は
785ページの膨大な情報量に唖然とする方、黄色本の存在すら知らない全国津々
浦々、様々で真っ新な「黄色本」を抱えてのご参加者もあり残念でたまりません。
しかし、今回の2020年版はページ数も13ページ増えて798ページとなっています。
この全容把握にR2年11月は没頭していたのです。それもそのはず、今後の実務や
構造審査はこの2020年版があらゆる場面における判断のよりどころとなるからです。
すべては「黄色本2020年版」から始まります。これが真骨頂(本来の姿)です。
否応なしに「読破・完全把握」が壁となります。構造設計一級建築士の受験対策や
構造計算適合判定資格者にも座右の友となり、本の劣化が理解度となって現れることを
期待しております。「ボロボロ」になるまで読み通しましょう。
印字ミスを除いて、指摘されるのが嫌なら徹底的に「この本を自分のものにしろ」です。
当方では、2020年版黄色本を用いて、今年(R3年)の学びは「黄色本攻略から即戦力」
として全国各地(札幌・東京・西宮・福岡)の勉強会となっています。
2015年版の初版は、印刷ミスや「正誤の正誤」と連鎖が続き「手引書」とは程遠いのが
実務者には感じられたはずです。今回も第1刷から2週間後には第2刷です。
「正誤」や記述内容が落ち着くまで新黄色本の購入を差し控える方まであります。
次から次に「正誤」の出てくる編集理由の「説明責任」を全うして頂きたいし、誰もが
編集責任の所在を明確にしてほしいと望むのが本音です。
(R3年1月15日)
黄色本2020年版の改訂 (その4)
黄色本2020年版の改訂(その4)
2020年版黄色本には過去にもあった各ページ右欄外に黒傍線部を付けています。
この対応は「2015年版」からの内容に変更の加わった箇所として示しています。
ただ残念なのは、「正誤の正誤」と連鎖が続くことです。さらに、熟練者の年齢層から
コピーペーストした図、表の活字書体の大きさが小さく「ルーペ」の必要もあります。
製本の過程で気がついているはずです。そこに、ガバナンスのメスが入らず読者から
指摘を受けての増刷時の修正になるのでしょうか。本の重要性で指摘するならば
編集の責任も指摘されなければ不平等の感が拭えません。増刷で逃げることこそ
恣意的な操作と言われる所詮であり、完璧を求めるのは無理であるなら「時間」を
かけて編集時と印刷時の調整を真摯に行わなければ「正誤の連鎖」は止まりません。
今回も、第1刷発行(R2.10.26)の14日後、R2年11月9日には「第2刷」で販売
した状態で、読者にとっては落胆の連続です。
2020年版黄色本において、「重要なページ」は2015年版とあまり変わらずですが
第6章の「保有水平耐力計算等の構造計算」はかなり「リニューアル」されており
一朝一夕には参りません。「焦点をぼかした」記載を改善された部分もあり何度も読み返し、
お経のように「読み上げ」たり「自分の手書き」がとても大切になります。
唯一、崩壊形を求める方法に2020年版にはP-398の8行目の①の記述 が2007年版
以来の再記載となっており、実務者には「余耐力法」へ持ち込む目安となります。
世の中の進歩で先端IT機器も頼りになりますが、「海馬の刺激」にはなりません。
少しずつでもいいですから、早朝誰も邪魔の入らない時間帯に「毎日1時間」の
自己研鑽がお役に立つ近道です。決してあきらめない強い「初志貫徹」の信念にて
798ページの完全読破に挑戦されることをお薦めいたします。
(R3年1月25日)
黄色本2020年版の改訂 (その5)
黄色本2020年版の改訂(その5)
2020年版黄色本の改訂では、第6章の「保有水平耐力計算等の構造計算」は
かなり書き換えや新しい記述がありました。また、付録1「構造関係規定に関する
技術資料」にも目を配る必要があり、あちこちに新しい記述が入り注目しています。
黄色本2020年版を用いた今年のセミナーでも下記のことを触れます。
「重要なページ」は、例えば一例として
【変形増大係数】→ P-328
【耐震計算のフロー】→ P-331
【ニューマーク理論】→ P-341
【崩壊形・崩壊メカニズム】→ P-346 (※最も重要)
【脆性部材と靱性部材の復元力特性】→ P-347
【Dsと塑性率μ】→ P-360
【S造のDs】→ P-372 (※最も重要)
【RC造のDs】→ P-393 (※最も重要)
【SRC造のDs】→ P-415 (※最も重要)
【木造のDs】→ P-425 (※最も重要)
【S造の二次設計の構造計算フロー】→ P-354
【RC造の二次設計の構造計算フロー】→ P-379
【SRC造の二次設計の構造計算フロー】→ P-409
【構造計算ルートと仕様規定の適用関係のフロー】→ P-421
【地震力に対する建築物の基礎の設計指針】→ P-431
【露出型柱脚を使った建築物の計算別の設計フロー】→ P-636
【部材の終局強度式】→ P-659~ (※最も重要)
【剛節架構外のnの値】→ P-694
【ピロティ形式の建築物に対する耐震設計上の留意点】→ P-744
【強度割増し係数αp】→ P-754
【EXP,J関係】→ P-765
是非、お時間があればセミナーへご参加をお待ちしています。
(R3年2月05日)
黄色本2020年版の改訂 (その6)
黄色本2020年版の改訂(その6)
過去に論評した「いまさらながら黄色本─6」を再度、掲載しておきます。
「黄色本」の重要性を色々な角度からお話して参りましたが、いまだにこの本の存在すら知らない「一級建築士」がおられる事は残念でたまりません。
ただ単に、規定単位を取得して「最高学府」を卒業しても「国家試験」の受験対策に明け暮れる「東京大学工学部・建築学科卒」の立派な履歴のある方々が某資格学院に通うと
いう「受験システムのひずみ」と、実務に直面してから「黄色本勉強会のご参加」では
「学び」が逆転しています。全国各地で体験してきたものから、「ひずみの是正」として
論評します。
まず、「一級建築士の試験内容の中に構造計算を科す」改革が急務であり、隣国の「韓国」のように全ての分野に精通した「建築士」でなければ「小手先の改革」と社会批判に再び浴びるのみです。
黄色本の内容の執筆活動状況をもっとオープンにして「ガバナンスプロセス」を多くの
実務者に目に見える形にして「正誤の連鎖」を防ぐべきと考えます。
「霞が関」の上級官僚にも「同一の国家試験」の受験の義務付けをさせ、官に支配され
ない第三者機関が「認証」する仕組みも考えられます。
「学び」にヘイト(差別)はありません。「強制的統治」しようと無理じいをするから派生
するこの国独特の「ムラ社会」的な動きこそ社会批判を浴びるに必要なものです。
今回の「姉歯事件」も、元をただせば、「建築主事」に「構造計算書の審査能力がなかった」
だけの客観的事実です。なのに、「行政の不作為」に誰も声を上げません。
基本的な事柄の置き忘れがありながら、「適合性判定制度」と称する実務者に協力を求めた無作為施策ではやはり「建築基準法」そのものを抜本的見直しに着手しなかった政治の
責任も見え隠れします。「実務者」として、やることはただ一つ。しっかり「説明責任」を全う出来る能力を培うべきです。
以上、読み終えて如何でしょうか。実務者ならきっと、感ずるものがあるはずです。
そして、「構造計算適合判定資格者(ルート③)検定の受験対策」も今年(R3年)は東京と西宮にてご用意しておりますし、このルート③対策では「事前夏季特別勉強会 / 東京」もあります。
全国各地(札幌・東京・西宮・福岡)の「黄色本攻略から即戦力」の定期勉強会に率先して
自らご参加され、この黄色本の「重要性の再認識」を切望いたします。
構造計算の出来る一級建築士になって頂けるように、決して飾らない素直な「学び」の
取り組みに邁進いたします。
今年(R3年)は「衆議院議員選挙」があり、大きな社会変革(ルネサンス)を予感しています。