構造支援・構造設計塾のハシテック

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初心にかえる学び 

(R3年4月15日)

初心にかえる学び(その1)

寺子屋教室(その1)

 毎日「メール着信」の中、どうしてこんなご質問を今さら・・・と感じたり、また業務に「追い込まれて」レスキューの駆け込み事が多いです。「構造のご支援」として全国各地で体験してきたものから、新規に取り組み中の「初心者向け勉強会(寺子屋教室)」を少し掘り下げて論評します。

実務に、「意匠」しか行わないとか特定分野のみ関わっていると、「構造が絡む」局面では

何らかの技術基準の解説書が必要となりますが、ここで出てくる文献が「2020年版黄色本」であり、全798ページにも及ぶ分厚いもので、初めて見た方は内容の多さや中身の記述に唖然として閉口です。これを、隅から隅まで一行一句読み通し、熟読せよとは過酷です。

しかしながら、正式には、「2020年版 建築構造関係技術基準解説書」となっており、

実務者には「ボロボロ」になるまで「手あか」が付くほど劣化する事を切望いたします。

ただ、実務経験の少ない「初心者」や「意匠しか関わらない一級建築士」には大変な学びの「壁」となっているのです。だからこそ、当方は「滅私奉公」と揶揄されようとも、真摯に取り組むことが「ライフワーク」として頑張れるのです。

私の郷里は、大阪から鉄路3時間の日本海側にある兵庫県北部です。この地域は、多雪区域のど真ん中で、冬型の気圧配置になりますと、中国山脈を分水嶺とした瀬戸内海側の「お日様」を受けた「革靴でも歩ける都会」に否応なく憧れました。

「山の陰」と言われる人口減少が続く典型的な過疎地なのです。

晩年の「活動」、誰も取り組まない「ご支援」に全力投球して「距離の壁」で苦しんだ自身の「苦しみ」を避けて、逆に当方からの「出前教室」に取り組む事にいたしました。

R3年の取り組みのスタートは、早春2月の「かごしま県民交流センター」でしたが

「緊急事態宣言の延長等」に翻弄され、残念ながら「見送り」と相成りました。

世の中の推移に合わせて「リモート対応」を構築して音声と映像のリアルタイムです。

新建築士制度における「構造設計一級建築士」の講習制度や「付与資格のあり方」も

いずれ、議論の対象となるはずです。「中央集権化」の弊害も取りざたされ、「デジタル化」

の世間の推移動向から、「政策のあり方」にも言及されてくる事を期待いたします。

今秋までにある衆議院議員選挙で、しっかりと「国民の権利」の行使です。

(R3年4月25日)

初心にかえる学び(その2)

設計事務所は教習所ではない(その2)

世にいう「耐震偽装事件」のあと、「構造支援のハシテック」として10数年以上の滅私

奉公で見たものは・・・。

桜咲く4月、意気揚々とこの世界に入り、自分の知らないあらゆる建物の『設計行為』について先輩諸氏に寄り添いながら、切磋琢磨の社会人としての人生が始まったはずです。

大学の建築学科系の卒業生にとっては、2年後には「1級建築士」の国家試験が待ち構え

「実務」を手ほどきされながら「受験対策」となり、誰か「やさしく教えてくれる方」はいないのかなぁ・・・が現実でしょう。しかし、社会は容赦なく厳しいはずです。

某資格学院など「建築士の国家試験予備校」では、東京大学卒業生までお世話になって

いる始末です。「1級建築士の合格」だけが人生目標ならそれでもよいでしょうが・・・。

一人の元1級建築士の耐震偽装事件により、「建築基準法」「建築士法」が改正されて今迄

以上に、「建築士の国家試験」の難易度が上がり、特に「学科Ⅳ=建築構造」の設問内容に「弾塑性設計」が中心となり、また全ての構造形式を満遍なく理解したりその実践を経験しないと毎年「不合格」の不運となってしまいます。

「しっかり共に学ぼう」と誰が、貴方の背中を押してくれますか?

先輩達は、「設計事務所は教習所ではない」と言うはずです。もっとも、その通りです。

自ら、「学び」「考え」「実践」をコツコツ継続する以外にありません。

私の故郷は、兵庫県の日本海側の小さな「田舎町」です。将来を真剣に考える「両親達」は県庁所在地の「神戸」とか「大阪」や「首都・東京」の「エスカレータ式」の進学コース選択に躊躇いたしません。最近、「全国各地」では「医学部進学」の予備コースに関する

「教育ビジネス」の繁盛ぶりに唖然としています。「医は算術」なのでしょうか・・・。

確かに「人間」の根本は「健康」です。しかし、それを見越したように乱立する「教育」は真の教育ではないように思えます。

さて、皆さんが何らかのきっかけで「建築」という分野に足を踏み入れた以上、その「道」は途方もなく、永遠に続く「終着駅のない道」です。文部科学省の規定による「建築学」のカリキュラム構成に問題があるのに中々是正されません。何故、「一人の元建築士」の

耐震偽装を見抜けなかったのでしょう・・・そこを考えると、「建築士免許」に欠けているものがはっきりと見えるはずです。「行政の不作為」に対して誰も声を上げません。

平成19年6月の「建築基準法の改正」では、「適合性判定」なる制度は「実務者」に

「おんぶにだっこ」であり、「行政側の責任回避」にすぎません。ことの根幹は「何か」が置き去りにされてしまっています。「構造を知る」が分かれば「難易」なのものではありません。ここで「建築の骨格」を理解して頂き「初心者としての対応」を解説して参ります。

(R3年5月05日)

初心にかえる学び(その3)

学びを阻害するものは「何か」を考える(その3)

滋賀県高島市在住の「貴瀬 勝さま」とは、過去に「構造設計1級建築士受験対策」に

おいてお出会いしました。彼は、学芸出版社から一冊の本を出されています。

題名は、構造計画ここがまちがうで「構造計画の重要性」から「勘所」や「応用」に

つきやさしく分かりやすく述べられています。

また、元日本住宅公団の「海野 哲夫さま」の彰国社から出版されているシリーズの単行本でも「構造学再入門」など、「構造を知る」上でお役に立つ書籍は沢山出回っています。

京都の「上野嘉久さま」とは、大学も同窓であり「行政から見た構造設計」や最近では

「実務から見た構造設計」等執筆活動をされており、久しくお会いしていませんが、この「上野 嘉久さま」は、手品も余興で出されたりしており今でも「学びの友」でもあります。皆さんが「学び」に対して「阻害するもの」は「何か」を考えられたのは、「国家試験」の受験対策時になるはずです。実際、お勤め先の「職場」にて「先輩」が「構造」について

やさしく分かるように解説したり、教えてくれますか?

私には幸いにも、「若年期」にたまたま故郷にて「理解ある先輩」に巡り合えました。

その方は、「鉄工所」に勤務され、10歳位年上で、人格もよく人々から「信頼」されて

地域の様々な「役職」を引き受けながら、超多忙な中、至らぬ「私の特訓」をして下さり

「鉄骨造の構造計算」が一人で出来るようになるまで教えて下さいました。

しかし、その先輩は「僕は、鉄しか分からない」「僕のそばにいては鉄の片輪になるぞ」と暗に、全ての構造形式の「構造を知る」ことを促されました。

この時こそ、「オ―ルマイティ」にどんな「構造物」でも「構造計算」が出来るようになる

為に「背中を押された」時でした。もう、後戻りも許されずただただ「勉学」の中にある

「高等数学」の「非線形」の学びに入り込んだのです。

時を同じくして、時代は「新耐震基準」に入ったのです。「弾性域の理論」はとても簡単な「四則演算」、しかし、「塑性域」は違うのです。「変形の把握」を要求していました。

だから「一次設計」の「許容応力度計算」から「二次設計」の「崩壊形」へ学ぶコマが

一気に進んでしまい、「ついていけない」が続出するのです。

「学びを阻害するもの」は「教育カリキュラム」でも「学校教育制度」でもありません。ご本人の「学ぼうとする意欲と気力」です。「あきらめる」のは何時でも出来る。

折角、飛び込んだこの分野、「他の方」に出来て自分に出来ない理由を再考して見ましょう。最初から、「苦手の分野」を避けて通ることが脳裏にありませんか?

そこが、「問題の根底」なのです。イヤなら「辞めて他の職業選択」しなさいです。

イヤイヤするなら「どの分野」を選んでも結果は同じです。東京の八王子に友人があり

彼は「建築」が好きでたまらない・・・「楽しく建築」を業務にしていると申されました。

 

 

(R3年5月15日)

初心にかえる学び(その4)

しっかり「構造を知る」ために(その4)

建築主の貴重なお金で「構築」する「建築物」は自然現象に立ち向かい「破壊」しては絶対に困ります。部材が「降伏する」までは「変形が元に戻る」の大前提の基に全ては

部材を「1本の線」に「置換」しています。この「線材」は「断面1次モーメント」の

位置であり、この材軸に「力」が流れます。「力」が流れると「ストレス」が発生します。

この「ストレス」が「応力」であり、その度合いを「応力度」といい「断面積当り」で

表現されています。この「応力度」が法律(告示)の「使用材料別」に定められた「許容

応力度」以内である事を確かめるのが、一次設計の「構造計算」なのです。

「応力」には「曲げモーメント」「せん断力」「軸方向力」があります。

「曲げモーメント=M」は物体を回転させようとする運動です。ですから「力」が作用した

位置から「作用点」までの「直角の距離」を乗じる(掛け算)ことで表されます。

単位は、例えば、「kN・m」とか「N(ニュートン)・mm」などです。

「せん断力=Q」は物体を引き裂こうとする力のことです。引き裂く力が大きくなると

鉄筋コンクリート造では「ひび割れ」、鉄骨造では「座屈」などの現象を見届けれます。

単位は、例えば、「kN」とか「N(ニュートン)」などです。

「軸方向力=N(ノーマルフォース)」は断面集中力のことで、「引張力」「圧縮力」です。

単位は、例えば、「kN」とか「N(ニュートン)」などです。

この「ニュートン」は「りんごの落下」から万有引力の話にでる博士の名前です。

1991年JISの改正に伴い、今は「SI(スタンダード・インターナショナル)単位」です。

単位の変換は、1N=9.80665kgfであり、1kgf=1kg×9.8m/s2=9.8Nです。

少し、「物理学」的なものや「英語」「ギリシャ文字」に慣れて頂く必要があります。

この程度の学びは、誰でも(サルでも)分かるものです。奥が深い学びの登山口です。

富士山が「世界遺産」に登録され、3776mの頂上にも最近は「山ガ―ル」も有名です。

誰でも気軽に登頂出来ますが、ある程度「体力」や「体調管理」は言うまでに及びません。

世界にはもっと高い山が沢山あり「山があるから登る」人間のあくなき追求です。

「工学分野」でも、「あくなき追求」を目指し、「難易度」を自分に合うように調整し

ながら「もっと上」を制覇する努力を忘れてはなりません。

部材に力が流れ、接合部の「節点」で釣合い条件を維持するために「応力の配分」が

され、平衡を保つと「構築物は静止」します。そこで、力の流れがスムーズでなくなる

原因(RC造ならひび割れ、S造なら座屈など)があるとその部位から「耐力の低下」に

結び付く「脆い破壊=脆性破壊」になり付着もままならず「割り裂ける破壊=付着割裂破壊」

へ進行性破壊になるのです。「人間」は「痛い」「熱がある」と言って状態を表現しますが

建築物は、「ひび割れ、座屈」などを見せ付けて「苦しいぞ」と言っているのです。

 

 

 

(R3年5月25日)

初心にかえる学び(その5)

「学び」の本論(その5)

ひび割れとか座屈を見せ付けられて、その「構築物の健康状態(応力度状態)」を

見届けれる「建築構造医学(?)」のようなものについて解説いたします。

部材を3次元に立体として捉え、材軸に「特殊な応力度センサー」を組み込んで実験を

試みると、「応力度のこみ合う度合い」とか「密度」などから「許容状態の把握」にも解明出来て理論が実証付けとなります。早稲田大学の松井源吾Drは光弾性感度の応用を「光弾性等色線」の縞理論では先駆者です。一枚の大きなスラブ版の「有限要素(FEM)法」とも関連いたします。建築主の希望を図面に表す為に必要な事は、「力の流れ」を知るである。

いくら「デザインコンペ」で最優秀賞を得ても自分で「力の流れの解説」が出来なければ

「絵に描いた餅」となってしまい、社会は評価いたしません。実施設計では当然その「力の流れ」に沿って「プロジェクト」が進行し、「成果品」が完成するはずです。

初期の構造計画では、当方は「仮定断面を自分で決めれる」ようになって頂ける為にも

カリキュラムをご用意しており、「RC造、S造、基礎地業の実践」に役立つご支援です。

金曜日にご相談があり、月曜日に「クライアント」へ「プレゼン提出時」に皆さんはどう

対応していますか?

決まるかどうか不明であり「無報酬」で誰が「仮定断面の略計算」をしてくれますか?

そんな時、建物にどんな外力が支配的であり、「部材」を支配する「応力度」の略計算が

自分で出来る強みを培って下さい。それが「技術者」としてあるべき姿です。

次に、「先輩に聞けない」「先輩も知らない(?)」初歩的な疑問の出る理由を考えて見ます。

ほとんどは、「文献の基本事項」に記載されています。

当方には、全国各地の「ハシテック会員」からありとあらゆる質問が待ったなしでメール着信いたします。そのたびごとに、「質問の背景」にある「文献」を取り上げてやさしく

解説しています。例として、「地中梁」を入れないと「構築物の基礎」はどうなりますか等

まったく「初歩的な内容」と思えますが、ご質問者は真剣なのです。

「応力」の中にあった「曲げモーメント=M」に抵抗出来なく「基礎は回転する」のです。

「基礎の回転」を止めるにはどうするか・・・「杭基礎なら、杭間隔を拡大する」とか

「直接基礎」なら偏心距離e=M/Nから「中立軸が基礎版のどの位置になるか」を見ます。

結果として「転倒する」か「しないか」を把握し、「接地圧係数=α」によって偏心量に

応じた「基礎版の大きさ」となるのです。

楽しく「構造を知る、学ぶ」には、台風が接近した強風時に「自然木の自立状態」を

しっかり自分の目で観察して下さい。自立している以上、G,Lから下の「根入れの中」で

外力である「風荷重」を打ち消す「反力」が木の根っこの中で格闘しているはずです。

これで、物事の成り立ちが理解出来たと思います。

 

 

(R3年6月05日)

初心にかえる学び(その6)

「構造を知る」初心者のために(その6)

全国各地への往来から「構造を避ける」風潮が手に取れるように見えます。

国立大学の建築学部でも「構造専攻」する方は、毎年40人のうち5人程度です。

大半の学生諸君は、「面倒な事」は避けて、「楽をして卒業」しようとします。

確かに、134単位取得すれば「大学は卒業」ですが、社会人になってからたちまち困る。

ほとんどが「1級建築士の学科Ⅳ=構造」で苦しむのです。さらに「勤務先」では「構造

部署」などへ派遣されイヤイヤ勤務です。世の中「フラッシュ」を浴びている著名な

「建築家」と呼ばれる方は、約38万人の「1級建築士」のうち「ほんの一握り」です。

聞いた話ですが、公務員であれば「建築指導課」へ人事異動なら「奉職を捨てる」など言いだす始末だそうです。誰かが、「構造計算」しなければ「構築物」として立脚しないです。

嫌な事は「避けて通る」なら・・・「建築」をあきらめましょう。

自分に合った「職業」は「グローバル」に探せばいくらでもあります。

若い時は、「旅」をされて、「著名な建築家」である「安藤忠雄さん」のように「プロボクサー」を目指しながら「世界の建築を見る放浪の旅」をした方もありますし、木材の多様性を追求されて「国立競技場」の意匠設計をされた「隈研吾さん」もスーパースターです。

でも彼らのように脚光を浴びるのは、約38万人の「1級建築士」のうち「ほんの一握り」と心得て下さい。

室蘭工業大学の名誉教授である「荒川卓博士」は「せん断強度式」に人生を捧げられた

偉大な教授です。「0.053」とか「0.068」という係数を出すために頑張られたのです。

私達は、その式が「告示式」として採用されているので「RC造」の計算で役立つのです。

私の母校である大阪工業大学の故二村誠二先生は、「アルカリシリカ反応」の研究者でした。

今は亡き温厚な先生ではありましたが、平成7年の阪神・淡路大震災の被害の中で「山陽新幹線の高架橋」の特定区間のみ崩落した「アルカリ骨材反応によるひび割れ」の調査では先駆者でした。骨材中には、セメント中のアルカリ金属イオンと化学反応して膨張する性質を有する事でひび割れに直結するのです。この「アルカリシリカ反応」は骨材中のシリカ生成物(SiO2)である鉱物がコンクリート中の高いアルカリ性のpH条件下で、セメント中のナトリウムイオン(Na)やカリウムイオン(K)と化学反応するものです。この反応を制御する為、使用骨材がシリカ反応性を持つので最近は高炉セメントやフライアッシュセメントを使用するようになったのです。「RC造のひび割れ」にも役立つ話です。

構築物においても、人体の健康管理と同様に「建物管理」にも「目配り」とか「作用・副作用」について合理的かつ適切な工学的な技術者の判断になると考えるのです。

 

とりとめもなく、「世の中の現状」を見つめていて「構造を知る」ことの大切さについて

ひとり一人の気付きが大きく育つことを願っております。

 

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